将棋界も参考にすべき? チェスの不正行為分析の考え方
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月1日 17時50分
2. ようするに、先の例で言うところの「印」をどうつけるかという問題である。そうしないとどこまで行っても理論的には偶然である可能性を排除できない。
3. その意味で、「印」は、リーガンの言葉を借りれば「チェス分析やコンピュータとの指し手との統計的一致とは独立した、何らかの物質的あるいは観察に基づくチートの証拠」(physical or observational evidence of cheating, something independent of the consideration of chess analysis and statistical matching to a computer)でなければならない。
統計分析の結果はあくまでチートの「補助的な」証拠に過ぎず、チートを立証するには他に具体的で明確な証拠が必要となる。チートの現場が押さえられればそれに越したことはないだろうが、そうでなくとも不正に用いた機器のような物証、あるいは不正行為の現場を目撃したというような具体的な証言があれば良いわけだ。残念ながらこの場合、「プロの勘」のような感覚的なものは証拠になり得ない。仮に今回、告発した棋士や日本将棋連盟の中枢が、一致率の高さがチートの動かぬ証拠になると思い込んでいたとしたら、それは不幸なことだったと思う。
思うに、もう将棋プログラムは十分強いので(笑)、将棋プログラムの作者なりコンピュータ将棋協会なりは、今後は将棋のチート検出に取り組んだらよいのではないか。ルールがかっちり決まっている他の分野、例えば会計不正なんかの検出にもノウハウが応用できそうだ。日本将棋連盟も、こういうのに金を出したらいいのにね。とりあえずリーガン先生を日本に招いて講演会でもやってほしいのだが...。
※当記事は「八田真行さんのブログ」からの転載記事です。
八田真行(駿河台大学経済経営学部専任講師、GLOCOM客員研究員)
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