天津爆発関係者死刑判決――習近平暗殺陰謀説は瓦解
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月14日 16時0分
去年8月12日に天津で起きた大爆発事故関係者の裁判で、去る11月9日、死刑を含む判決が出た。賄賂などに関する膨大な証拠と本人の自供により、習近平暗殺陰謀説は瓦解。権力闘争論を煽る論調の危険性を露呈した。
賄賂を渡して危険物処理などの営業許可証取得
去年8月12日夜半、天津市濱海新区(天津市東彊保税港区)瑞海国際物流有限公司(以下、物流会社)のコンテナを保存する危険物倉庫が発火して、大爆発事故が起きた。死者165人、行方不明者8人、けが人798人という犠牲を出している。損害額は2015年12月時点で68.66億人民元(当時のレートで1297.76億円)という。
事件翌日の8月13日から拘束・逮捕されていた物流会社関係者や癒着があった他の評価会社の関係者など計24人と、天津市の行政関係者25人の計49人に対して、天津市中級人民法院と天津市濱海新区人民法院など9つの地方裁判所が、今年11月7日から9日にかけて裁判を開き、裁判のほぼ全過程が中央テレビ局CCTVなどで放映された。
中でも、(2年の執行猶予付き)死刑判決を受けた物流会社の元董事長・於(簡体字では于)学偉の「死刑判決後の表情」という特別のウェブサイトまでが設けられ、日本の裁判場面がスケッチでしか公開されない状況との対比を、再び思い知らされた。
罪状は27案件あり、主たるものは危険物取扱管理に関する営業許可証を取得する際に行われた多岐にわたる贈賄・収賄およびそれに伴う偽造種類の作成である。判決は(執行猶予付き)死刑を始め1年半の懲役刑に至るまで、その罪状に応じて多岐にわたる。
登場人物があまりに多いので、その詳細を書き始めると、かえって全体像が分かりにくくなる恐れがあるので、何が起きたかだけを簡略的に列挙してみる。
1.濱海新区で危険物取扱を含めた営業許可証を得るには、少なくとも「港口経営許可証」と「港口危険貨物作業附証」の二つを取得していなければならない。
2.特に「港口危険貨物作業附証」の審査は厳しく、環境評価委員会、安全評価委員会、衛生評価委員会など、さまざまな評価委員会の審査を受け、それらすべてに合格した上で、許可証が出る。
3.ところがその審査の過程で不正が行われ、疑義を申し出た第三者評価委員に関しては理由を付けて行政側が除名した。すべての審査過程は、物流会社側から賄賂をもらっている評価会社や行政側がコントロールし、書類にも操作を加えて偽造書類を作成し、危険物のコンテナを取り扱う許可証を2015年6月23日に行政側が発行(危険物取扱以外の営業許可証は2012年11月28日取得)。爆発事故は危険物処理に関する営業許可証を取得した後、2カ月も経たないうちに起きてしまった。行政側で収賄の罪に問われた者の中には、天津市交通運輸局や港口管理局の元副局長などがいる。
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