「女性のひきこもり」の深刻さと、努力しない人もいる現実
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月14日 16時12分
ひきこもり状態の人々に多く見られる傾向としては、研ぎ澄まされた感受性を持ち、カンがいいために、人一倍、周囲の気持ちがわかり過ぎてしまうという特性が挙げられる。 それだけに、自分の望みを言い出せず、逆に相手に頼まれると断れないまま、気遣いし過ぎて疲れてしまう。そして、自分さえ我慢すれば、すべて丸く収まるからと納得のできない思いを封じ込めて、社会から撤退していく。そうした真面目な人々という像が浮かんでくる。(31ページより)
なお、上記の考え方を前提としたうえで納得させられたことがある。「いい子にならなければいけない」という気持ちを抱きながら育った結果、「ひきこもり」となってしまった人が少なからず存在することである。第2章「彼女たちがひきこもる理由」で紹介されているCさんがいい例だ。
子どもの頃、喘息を患っていた。6歳のとき、知らん顔して寝ている父親の傍らで、母親はCさんを背負って医師の元に連れて行く途中、転んでしまった。Cさんは申し訳なく思ったことを今でも覚えている。そのときから、「いい子にならなければ......」の思いを強く持った。(84~85ページより)
中学のころは、管理教育と校内暴力が問題化した時期だったが不登校の選択肢はなく、「学校に行けなければ、人生は終わりだという空気があった」と、彼女は当時を振り返っている。
Cさんは、手抜きができないから、宿題をすべて一生懸命頑張った。学校でもいつも緊張していて、軍隊調の指示に、顔が引きつっていたという。 バカがつくほど真面目に先生の言うことを聞いていた。周りを怒らせないように、ひたすらいい子。言うことさえ聞いていれば、周りが丸く収まる。決して怒られることはない。(85ページより)
真面目に対応しすぎたことが疲れた原因だと振り返るCさんは、中学生の段階でエネルギーを使い果たし、うつ状態になってしまう。そればかりか高校に入ってからは、「あなたは、なにをやってもダメな子だ」と責める母親を筆頭に、家族全員から精神的虐待を受けたのだそうだ。また就職も、「大手企業に入れ。会社は大きくなければダメだ」と主張する父親の言葉に影響されるまま大手に就職するも、精神を病んで退職することになる。
「私がたぶん、社会人としてやっていくだけの精神的成長がないまま出ちゃったので、自分が未熟だからやって行けないと感じていました」という言葉は、ひきこもり問題を考えるうえで決して無視できないはずだ。
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