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シンプルでちょっと弱気な新生ガガ様

ニューズウィーク日本版 / 2016年11月16日 11時0分

 ガガも時流に乗り、フェミニズムや人種問題に切り込もうとした。ただし最もメッセージ性の強い2曲は出来がよくない。癌を患う女友達にささげた「グリージョ・ガールズ」は、やかましいだけでつまらない。さらにいただけないのが、白人警官による黒人射殺事件に抗議した「エンジェル・ダウン」。タイトル(天使が死んだ、の意)からハープの音色まで、すべてがセンチメンタル過ぎる。

 それでもデラックス盤に収録の「エンジェル・ダウン(ワーク・テープ)」は不思議と悪くない。サウンドはシンプルで、ガガのボーカルも伸びやかで気持ちが籠もっている。

『ジョアン』は多彩な魅力を持っているが、それが1つの明確な個性に結実するには至らなかった。弱気になったガガが「こんな私でいいの?」と反応をうかがう気配は感じられる。つまり彼女も、そういう年だということ。レディー・ガガことジャーマノッタも、まだまだ進化していく。きっと。

[2016.11.15号掲載]
カール・ウィルソン


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