1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

スマホはこりごり? サムスン、JBLの音響メーカー買収で自動車産業に進出

ニューズウィーク日本版 / 2016年11月16日 6時1分



アップル、グーグルと一線を画したサムスン

 アップル、グーグルがスマホと自動車をつなぐだけに留まらず、本当の意味での自動で動くクルマを目指した自動走行車の開発をしている。サムスンも今回のハーマン買収で参戦するのか? 答えはノーだ。

  既存の自動車メーカーはIT業界からの自動車業界への参入に対抗して、さまざまな技術ロードマップを披露しながら主導権を奪われないように力を入れている。IT企業と自動車メーカーがともに関心を持つ領域が、コネクテッドカーと呼ばれる分野だ。 これは自動車に通信装置を搭載し、自動車同士、自動車と道路などで相互に通信することを可能にする技術だ。 自動走行車の開発の直前の段階と呼べるものだ。

 米ゼネラル・モーターズ(GM)は「オンスター」と呼ばれるシステムを車両に装着して緊急救助要請(eコール)とリモート車両診断など基礎的なコネクテッドカーのサービスを提供している。

 今回のサムスンによるハーマンの買収を自動車業界は「サムスンが完成車市場には進出しないという宣言」と見ている。サムスンが完成車市場に進出した瞬間、ライバルとなる自動車メーカー各社は、ハーマン製品の搭載をとりやめるだろう。 そうなればサムスンは80億ドルを払って買収した会社を中に放り投げることになる。つまり、アップルやグーグルとは一線を画し、自動車メーカーのパートナーとしてコネクテッドカーに必要なIT機能を提供する道を選んだということだ。ブルームバーグも、ITの優秀なブランドであるサムスンが、各自動車メーカーに良い情報技術パートナーになりうるという分析を出した。

 サムスンも「今回の買収を通じてコネクテッドカーのITソリューションにさらに集中する」というメッセージを自動車業界に伝えた。 単にハードウェアだけを供給するのではなく、コネクテッドカーに必要なソフトウェアまで含めたソリューション事業を展開する可能性が高い。



 だが、自動車業界の一部では、今回のサムスンによるハーマン買収を不安視する声もある。 サムスンはグループ内にサムスン・ルノーという自動車会社を持っている。親会社のルノー、そして同じルノーグループである日産などに、サムスン電子=ハーマンのコネクテッドカー技術が優先的に使われる可能性は大いにある。

 さらにサムスン電子の関連企業の技術を集結すれば、電気自動車は楽に生産できるという点も見逃せない。 特に電気自動車のバッテリーではサムスンSDIがBMW、アウディ、フォルクスワーゲン、フォードなどに製品を供給している。 業界関係者は「電気自動車の時代が来れば、サムスンがどう事業方向を変化させるのか関心が高い」と話す。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください