全米一の「しくじり先生」が書いた不幸への対処法
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月22日 18時40分
だからこそ、目を背けるのではなく、あるいは「自分には絶対に起こらない」と根拠なく言い聞かせるのでもなく、いざこうした難題にぶつかったときにどうすべきなのかを知っておこうじゃないか。たいていの不幸はひととおり経験済みの俺が、その答えを教えてやるよ――というのが、この本のコンセプトだ。
バロウズは、苦境をバネにして成功した人が言いがちな「あなたにもできる」とか「夢をあきらめるな」などといった綺麗事は決して言わない。それどころか、「夢をあきらめるな」と激励するのは(人によっては)いじめだ、とさえ言っている。だれもが見ようとしない真実を突き、あえて言おうとしない本音を堂々と言ってのける。
【参考記事】良い人生とは何か、ハーバード75年間の研究の成果/wildest dreams(無謀な夢)
そんな彼が真っ向から否定しているのが、アファメーション(ポジティブな自己宣言)だ。「私は人に好かれている」と自分に言い聞かせていれば、自然と自信がついてそういう人物になれるとか、もっと簡単な例を挙げると、笑顔を作ると気分が明るくなる、というのもある。
バロウズは、これを「ウソっぱち」と斬り捨てている。「自分に対する裏切り行為」だと。なぜなら、気分を上向きにしたいのであれば、重要なのは「何より上向きにしたいか」を認識することだからだ。そして、その答えは「いまより」であるはず。つまり、いまがネガティブな状態であること(自分は人に好かれていない)を自覚してはじめて、そこから上向きになる道を見いだせるのだ。
ネガティブな面に背を向けず、堂々とそれを受け入れろ。そのほうがずっと気分が楽になるし、「じゃあ、どうしようか」と考える気にもなる。なあ、そう思わないか?――これがバロウズ流だ。
経験者の言葉ほど価値のある教訓はない
世の自己啓発書の真逆をいく、という点以外にも、この本にはバロウズならではの特徴がある。実は、そちらのほうが強烈な魅力なのかもしれないが、ほとんどの項目がバロウズ自身の実体験をもとに語られているのだ(「26 子供を先立たせるには」など例外はある)。
13歳から20年以上もタバコを吸っていた彼に言わせると、「禁煙は信じられないほど簡単だ」。ただし、「ただ辛かった。辛いという〈だけ〉だった」(「17 禁煙するには」)。またバロウズは、死にかけるほどのアルコール依存だった。命か酒のどちらを取るか迫られたときも、彼は酒を選んだ。だが、それから今日にいたる13年間は「ただの一度も飲みたいと思ったことはない」らしい。
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