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スー・チー氏と面会果たしたコシノジュンコさん

ニューズウィーク日本版 / 2016年11月24日 11時44分

 気が付いた安倍首相は「ちゃんとご紹介しましょう」と、スー・チー氏に英語で「この方は日本の有名なファッションデザイナーです」と言った。

 これを引き取ったコシノさんは、ミャンマー語の通訳を介して、これまで2度ミャンマーでファッションショーを開いたこと、2013年に同国で東南アジア競技大会(SEAゲーム)が開かれた時は、ミャンマーチームのユニホームをデザインしたことなどを話した。

 スー・チー氏は「ああ、そうだったのですか」と思い出したようにうなずき、「ミャンマーの女性のファッションはまだまだですから、ぜひお手伝いしてください」と言った。コシノさんは自分がデザインしたハンカチに名刺を添えてプレゼントした。スー・チー氏は「ありがとう」を受け取った。



「気さくで、偉ぶってないチャーミングな方でした」とコシノさんは印象を語る。

 もう一つ、コシノさんがスー・チー氏で感心したのはそのスピーチだった。安倍首相の後、答礼の辞に立った同氏は、温かいもてなしに感謝を表明した後、「きょうのお客さまには女性が少ないようです」と言った。確かに日本側招待者の中に女性は数えるほどしかいなかった。

 スー・チー氏が「ミャンマーの女性は強く、男性は弱く日本と逆です。わが国の若い男性が強くなるよう日本から教えていいただきたい」と続けると、どっと座がはじけた。スー・チー氏一流のユーモアだった。

「あのスピーチは素晴らしかったです。確かに女性が少なかった。稲田朋美防衛相など政府関係者は別にして、招待された女性は私以外にあと2、3人くらいでした」(コシノさん)。

ヤンゴンで世界最高レベルを

 コシノさんがミャンマーの最大都市ヤンゴンで初めてのファッションショーを開いたのは09年8月だった。この年は日本とメコン地域諸国の交流年で、その一環で日本の外務省と国際交流基金が企画した。コシノさんが開催を任されたのは、中国やベトナムなどの社会主義国でショーを開き、ファッションを通して日本文化を紹介してきた実績があったからだ。

 そのコシノさんは当時、私の取材にこう語っている。「(ファッションショー開催の)話が持ち込まれた時、先入観を捨てようと思いました。ミャンマーはこのレベルだからこの程度でいいではなく、パリ、ニューヨークでやるのと同じ最高のものを見せる。それは必ず伝わると思いました」

 コシノさんはまずその年の3月に現地入りし、オーディションでモデル130人の中から17人を選んだ。そして本番の8月、日本人モデル4人を含め、音響、照明、メーク、ヘアー、ディレクターなど総勢17人と共に、ヤンゴンに乗り込んだ。

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