トランプ、強硬保守とソフト路線の「バランス戦略」は成功するのか - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月24日 17時0分
また、パリ条約や地球温暖化について、著名なコラムニストのトーマス・フリードマンが質問すると、「気候変動の理由に関しては、オープンマインドで考えたい。人為的な理由もあるようだ」と述べ、これも選挙戦中の「温暖化否定論」とは異なった見解を述べています。
ということで、非常に中道的なポジションで答えているのです。では、トランプ氏はこのまま「よりソフトな方向」へ寄っていこうとしているのでしょうか?
必ずしもそうでもないようです。どうも、現在の政権移行チームが狙っているのは「バランス」の追求です。つまり「強硬な保守派路線」と、より「広範な支持を狙ったソフト路線」の双方を抱えることで、バランスを取る戦略です。
【参考記事】動き出したトランプ次期政権、「融和」か「独自色」か?
つまり、バランスと言っても「中道現実路線にフォーカスして、実務的な統治能力と、世論との対話能力を磨く」のではなく、「強硬路線」と「ソフト路線」の両方を抱え続けるということです。
例えば、23日水曜日には2人の女性閣僚が発表になりました。これに対して一部では、女性閣僚を登用するのは良いことで「全面的にソフト」な路線へ進んでいるという報道もありますが、そう単純ではないと思います。
確かに、国連大使に起用したニッキー・ヘイリー知事(サウスカロライナ州)は、ティーパーティー系の政治家に区分けされることはありますが、トランスジェンダーの人権問題や、南部連邦旗の扱いなどでは中道的な立場を取っていましたし、何よりも大統領選中のトランプ陣営のことを「人種差別的」だと厳しく批判していたわけです。
外交経験はほぼ皆無であり、閣僚級の国連大使というのは重責であるし、インド系の移民二世で後にキリスト教に改宗するまではシーク教徒として育ったということが、例えばイスラム教文化圏や正教の文化圏の人々とのコミュニケーションを行う上で、プラスなのかマイナスなのかという疑問はあります。それはそれとして、そのようなマイノリティのヘイリー氏を起用するというのは、ある種の「ソフト路線」と言えるでしょう。
ですが、同時に決定した教育長官のベッツィー・デボスという女性は、かなり異なったキャラクターの人物です。まず、この人は「チャーター・スクール」とか「スクール・バウチャー」の強烈な推進派です。つまり、公費による一律公教育に反対し、宗教的な理由などの「独自の教育」を認め、その上で公費による「独自の教育への助成」を推進するという運動をしているのです。
この記事に関連するニュース
-
怒ってマイク投げ捨て、スタジオから立ち去る候補者…イラン大統領選挙は批判合戦が激化
読売新聞 / 2024年6月22日 6時50分
-
トランプ氏、経営者団体の会合に出席 バイデン氏側近も
ロイター / 2024年6月14日 13時14分
-
共和党の副大統領候補は誰に トランプ氏、忠誠重視
共同通信 / 2024年5月25日 17時24分
-
副大統領候補に若手コットン議員 トランプ氏
共同通信 / 2024年5月25日 9時15分
-
焦点:司法の掌握目論むトランプ氏、側近が描く人事と組織改革の青写真
ロイター / 2024年5月25日 8時8分
ランキング
-
1スイスで大規模洪水、3人不明
AFPBB News / 2024年6月23日 14時1分
-
2詐欺容疑の邦人逮捕が相次ぐカンボジア 特殊詐欺グループが拠点を置く事情
NEWSポストセブン / 2024年6月23日 16時15分
-
3フーシ派“米軍空母への攻撃成功”表明 米中央軍はフーシ派の主張否定
日テレNEWS NNN / 2024年6月23日 11時34分
-
4韓国・養育費を払わなかった親164人に「制裁」…出国禁止・免許停止
KOREA WAVE / 2024年6月23日 8時0分
-
5トランプ氏、討論会前に挑発=「バイデン氏は注射で興奮」―米大統領選
時事通信 / 2024年6月23日 11時6分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)