エリザベス女王がトランプ氏を公式招待へ ──王室の占める位置とは
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月25日 18時10分
1000年近く続く王室制度
イングランド王国(現在の英国の中心部分を占めるイングランド地方にあった)がフランスのノルマンディー公によって征服されたのが1066年。それから1千年近くにわたり、英国では王室制度が続いてきた。
例外はクロムウェル父子が護国卿として実権を握った共和制(1649-59年)のみだ。
英国は現在、立憲君主制を取る。「君臨すれども統治せず」の原則は、国王の権限を制限したマグナ・カルタ(1215年)、権利の章典(1689年)などを経てこの形となった。
エリザベス女王(90歳、在位1952年ー)は英国の元首であるほかに、16カ国の主権国家(英連邦王国)の君主であり、54の加盟国からなる英連邦および王室属領と海外領土の元首、英国会の首長でもある。
在位は64年となり、ウィンザー朝(1917年ー)の第4代君主。ウインザー家の家系をたどると、18世紀にドイツからやってきたハノーバー朝で、ドイツ系の王族が現在まで続いている。
皇室との違いは
立憲君主制の英国と、天皇陛下が国の象徴となる皇室とでは政治に干渉しない点で共通しているが、異なる点も多い。例えば日本の場合は皇統に属する男系の男子が継承するが、英国では女性も王位を継承できる。
【参考記事】天皇陛下の「生前退位」に興味津々の英国──最も高齢の王位継承者チャールズ皇太子に道は開けるか?
英国では1960年代以降、より自由で柔軟な価値観が浸透し、親、会社の上司、そのほか社会のエスタブリッシュメント(支配者層)への敬意の念が薄れて行った。
社会通念や価値観がより自由化、柔軟化した英国では王室批判のドキュメンタリー、新聞記事、ジョークは日常茶飯事だ。
欧州のほかの国の王室ではほとんどが立憲君主制をとり、男女にかかわらず最初に出生した子供に次の元首となる権利が与えられるようになっている。
エリザベス女王の公務の代表的なものとして、下院の会期オープニングの儀礼がある。毎回、女王が施政方針を読み上げる。
実際にはこれは官邸が書き、女王が読む形をとっている。
週に一度、首相との会合を持つ。この中で話された内容は一切外に漏らしてはいけないことになっている。
政権交代の際には辞任する首相がバッキンガム宮殿に向かい、政権終了を報告する。入れ替わりに入ってくるのが次の首相候補だ。女王は「女王陛下の政府」を形成するよう、依頼する。
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