悪名高き軍がミャンマーで復活
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月29日 10時40分
【参考記事】ミャンマー新政権も「人権」は期待薄
その雲行きが怪しくなってきた。「アナンを委員長に起用したのは、人権侵害に光を当てて、何らかの和解の環境を整えようという意図だったが」と、ブラウンは説明する。「委員会が影響力を持つ可能性は、もともと限られていた。あくまでも諮問機関にすぎないし、最近のラカイン州の動向により、委員会が成果を上げるチャンスが失われた恐れがある」
文民政権が軍に対して無力だという可能性以上に気掛かりなのは、文民政権が軍の行動に暗黙の了解を与えている可能性があることだ。スー・チーがロヒンギャについてどう考えているかは誰も分からないが、問題解決に動いていないとして批判されていることは間違いない。
襲撃事件の後に国営メディアは、軍による人権侵害が横行しているという「でっち上げ」の批判を厳しく非難する意見記事を掲載。民間のジャーナリストたちがテロリストと「グルになっている」と糾弾した。国営メディアを管轄する通信・情報技術省は、文民政権の影響下にある政府機関だ。
大統領府のゾー・テイ報道官はフェイスブックで、英字紙ミャンマー・タイムズの記者を名指しで批判した。軍によるレイプ疑惑を報じた女性記者だ。その後、記者は解雇されたが(軍事政権時代からの高官である同報道官が同社に直接電話を入れたとされる)、スー・チーの指示で職にとどまることになった。
最近、同報道官は内輪の席で、ラカイン州のロヒンギャをめぐる問題について政府と軍は「協力している」と述べた。「両者の方針は同じだ」
From Foreign Policy Magazine
[2016.11.29号掲載]
ボビー・マクファーソン
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