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百田尚樹氏の発言は本当に「ヘイトスピーチ」なのか?~ヘイトを生む「保守」の構造~

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月2日 15時40分

 だから彼らは、肉体言語を忌避し、「タトゥー見せびらかし」などを「しばき隊」「SEALDs」などに繋げて揶揄し、いわゆる「反社会的傾向」を持つものをことさら禁忌する。すべての因は、彼らがそういった犯罪傾向とは無縁の「善良」な中産階級だからだ。よく言えばそれは「育ちの良い人」で、悪く言えば「だからこそ想像力を欠く」といえる。

 私は百田氏とわずかだが面識を有するが、実に"温厚な紳士"という印象を持った。その優しい、飾らない関西弁には非常に親しみを覚えたほどである。しかしだからこそ、もしかすると想像力が足らなかったのかもしれない。百田氏のツイッターアカウントを停止せよ、という声に従えば、「百田氏以上に過激な」おそらく100万とか200万アカウントの停止が必要だろう。そんなことが現実的だろうか?

 今回の「ヘイトスピーチ」騒動は百田氏の個人的資質に還元されるのではなく、いわゆる「保守」とか「右派」の、「保守界隈」全般が前提的に有する貴族的で閉鎖的な体質を背景にしたものである、というところまで視座を広げなければ、批難の応酬以上の進歩はないであろう。

 参考記事*千葉大生集団乱暴 百田尚樹氏がツイッターで「在日外国人ではないか」とツイート 津田大介氏「この人のアカウントを削除すべき」(11月27日、産経新聞)

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

[執筆者]
古谷経衡(ふるやつねひら)文筆家。1982年北海道生まれ。立命館大文学部卒。日本ペンクラブ正会員、NPO法人江東映像文化振興事業団理事長。主な著書に「草食系のための対米自立論」(小学館)、「ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか」(コアマガジン)、「左翼も右翼もウソばかり」(新潮社)、「ネット右翼の終わり」(晶文社)、「戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか」(イーストプレス)など多数。



古谷経衡(文筆家)


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