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ついていく上司を間違えて前途を断たれないようにするには?

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月2日 15時45分

 権威ある立場の人に、提供できるものなどないと思うかもしれない。それは権力が生む孤立状態を過小評価しているから。トップの座に近づくほど、「その他大勢」との結びつきを失うリスクは大きくなる。そこに、あなたの出番がある。影響力がある人とつき合えば多くを手にできるが、その関係は一方通行ではない。あなたも多くを与えられる。

意見を提供する

 キャリアの階段を上り詰めた人々がよく口にする不満のひとつが、「自分が置かれた状況を客観的に見ることが難しい」。周りにいるのは、自分の決断と直接の利害関係を持つ人ばかり。誰もが自らの利益を考えてものを言う。そんな状態に客観的な視点をもたらし、その意見が信頼に値することを示せれば、有力者と驚くほど親しくなれる可能性がある。



 ローランドは起業家を顧客とする企業の会計士だ。まだ若手だったころから、彼はある著名な起業家とのミーティングに同席することがよくあった。「テレビで見たことがあるほど有名な人だったから、最初はびくびくしていた。でも彼は、出席者のなかでいちばん下っ端の私にしょっちゅう意見を求めてきた。時々電話してきて世間話をしたり、私には理解できないことについて長々と語ったりするようにもなった。彼が一方的に話すだけだったが、最後にはいつも『ありがとう。とても助かったよ』と言われた。私はほとんど何も話していなかったのに」

 求められているのはアイデアでも経験でもなく、客観的視点と話を聞いてもらうこと、そんな場合もある。

相手の目と耳になる

 知は力なり。それなのに地位が高くなるほど、周囲の人の本音を知ることは難しくなる。誰が本当は何を考え、感じているかを伝える窓口になれば、権力者にとってあなたの価値は上がる。もちろん、権力者にすりよっていると思われる危険はある。自己保身を目的に、ゴシップや悪口を言う人はどこにでもいるから。だが正しい動機を持つ限り、自分なりの新鮮な意見を伝えるのは賢い戦略になるだろう。

 大規模なコールセンターに勤務しているケリーの職場は、異様なほど退職者が多かった。経営陣は社内アンケートを実施したが回答する者はほとんどなく、報奨制度の見直しを始めていた。「職場に嫌気がさす人が多いのはなぜか、私にはわかっていた。部下に高圧的な態度を取る女性がいて、彼女のせいでフロア全体が嫌なムードになっていた。もうひとつの原因は、ばかばかしい話に聞こえるけれど、社員食堂のメニュー。私がその職場で働き始めてから2年間、メニューはずっと同じ。近くに店も何もなかったから、ほかに選択肢がない。だからアンケートに回答するなんていう遠回しなことはせずに、上の人と直接話がしたいと頼んで、問題点をはっきり伝えた。今では食堂のメニューも少しはましになったし、嫌われ者の女性の態度も変わった。経営幹部からは時々、職場の現状に対する意見を聞かれる。私は愚痴をこぼすより、問題を解決しようとするタイプだから」

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