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実録・昏酔強盗、警察も対応不能な驚きの「完全犯罪」

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月6日 12時50分

 昏酔強盗の被害については、中国パブに行っていた事実を知られたくないと被害届けをださないケースや、あるいは「犯罪性が認められない」「逮捕は困難」と警察に説得され被害届けを出さないケースも多い。実際には警察発表をはるかに上回る被害があると事情に詳しい関係者は指摘し、「上野だけで昏酔強盗の被害は年2億円を超えるのではないでしょうか」と推測していた。

実はこの手の昏酔強盗は中国では少ない

 在日中国人社会の犯罪事情に詳しい新宿案内人の李小牧氏によると、中国人による昏酔強盗はなにも最近になって登場した犯罪ではないという。もともとは新宿・歌舞伎町で多発していたが、2000年代初頭の取り締まり強化を受けて、犯罪者は別の地域に移動していった。

「2004年ごろ、半年間だけ銀座でクラブ経営をしていたことがあります。その時、街角に2人組の中国人女性が立っているのを見かけました。10組以上はいましたね。後に彼女たちが昏酔強盗だと知りました。完璧な手口の昏酔強盗なので逮捕されることはないとわかっていたのでしょうね。昏酔強盗を働いた後も銀座という場所を変えることなく次の客を狙っていました」

【参考記事】銀座・中国人昏睡強盗、日本人の知らない実態

 2011年11月には元新聞記者が1650万円もの退職金をすべて引き出される事件まで起きている。現在ではATMの出金規制が強化され、被害額は減少する傾向にあるが、「せいぜい数十万円程度の被害額では警察はなかなか動いてくれないので、被害者が歯がゆい思いをすることもあるでしょうね」と李氏。

「中国人が悪いのはもちろんですし、警察の無策も困りものです。ただ被害者の警戒心のなさも問題でしょう。酔っぱらったまま2軒目、3軒目とはしごしていたらリスクがあるのは当然ですよ。実は中国ではこうした犯罪はあまり多くはありません。騙されるのではないかとみな警戒していますからね」と苦言を呈した。

 また昏酔強盗の被害は中高年が多いという。「客引きの女性はだいたい40代です。若い子に相手にされないオヤジたちの心の隙間につけこむわけですよ。いくら日本が安全な国とはいっても自分の身は自分で守る意識は必要ですよ」と、李氏は警戒心を高めるよう呼びかけている。

 忘年会シーズンを迎えた日本でこれ以上被害が増えないことを祈りたい。


高城 武(ライター)


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