南スーダンは大量虐殺前夜
ニューズウィーク日本版 / 2016年12月13日 11時0分
新たな民族浄化が始まる
7月から10月までに、ジュバから東エクアトリア州、西エクアトリア州に避難した住民は20万人以上。それとともに戦闘もジュバから東西エクアトリア州、西バハル・アル・ガザル州、上ナイル州、ユニティ州へと拡大した。
国連の専門家パネルによると、南西部の町イェイでは、主にディンカ族で構成される政府系武装勢力がレイプ、裁判なしの処刑、拉致、拷問、略奪、家屋の焼き討ちを行っている。
「(ジェノサイドの)兆候は確かに存在する」と、南スーダンから帰国したアダマ・ディエン国連事務総長特別顧問(ジェノサイド防止担当)は先月、国連安保理で報告した。「私が南スーダンで話を聞いた人々は皆、権力闘争が明らかな民族紛争に変貌しつつあると認めた」
「今ならまだジェノサイドの引き金となる要因の一部に対処できるし、対処しなければならない」と、ディエンは訴えた。
最近、南スーダンを訪問したスイスの銃器調査NGO、スモール・アームズ・サーベイのアラン・ボズウェルも、中央エクアトリア州から逃げてきた人々の悲痛な声を聞いた。「反政府勢力が入ってきた」村落を、ディンカ族の民兵が手当たり次第に破壊しているというのだ。
「この内戦の特徴は民族浄化だ」とボズウェルは語る。「村落は略奪され、住民は追い立てられ、民族を理由に殺される」
CEPOのヤカニは、地方の村落では戦闘のせいで住民は農場に働きに出ることさえままならず、「人道的な状況は日々悪化している」と語る。武装集団による強盗の増加など、治安も目に見えて悪化しているという。
住民たちが何より恐れているのは「大規模な軍事衝突だ」と語る。それだけにヤカニは、武器禁輸決議に望みを託す。たとえ手遅れでも、長期的には武力抗争の規模を縮小できるかもしれない、と。
From Foreign Policy Magazine
[2016.12.13号掲載]
コラム・リンチ
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