仕事のグチをこぼす相手すらいない40代男性は珍しくない
ニューズウィーク日本版 / 2016年12月25日 16時6分
そこで義徳さんが目を向けたのは、同じ部署の部長(54歳)。「部下たちから孤立してしまって」と素直に打ち明けると、「やっぱりそうか」と笑顔で受け入れてくれたという。仕事では注意を受けることも多いが、仕事帰りの居酒屋では「バカ話で友人同士のように盛り上がる」。また、野球という共通の趣味があり、「休日にプロ野球観戦へ行く」ほか、「部長が家庭の悩みを相談してくれる」のだから、役職を超えた関係であることは間違いない。
義徳さんと部長の関係は、言わば、映画『釣りバカ日誌』のハマちゃんとスーさんのようなもの。ハマちゃんのように、「人なつっこく、遠慮しすぎずに上司と接することが、改善策になった」というケースは意外に多い。義徳さんが課のリーダーになって話し相手が減った以上に、上役の人々は孤独な日々を送っている。管理職同士、あるいは、気軽に話せる相手が少ない社員同士が分かり合えるのは、ごく自然なことであり、仕事以外のくだらない話をするだけで、お互いにとって貴重な存在になりえるのだ。
声をかける上司は温厚なタイプなら間違いないが、怖そうに見える人ほど孤独を抱えがちなため、意外にすんなり距離が縮まることもある。社長、役員、専務、いずれもOK。ランチの相棒、飲み相手、タバコ仲間、趣味友達など、何らかの接点を探してみて欲しい。
もしかしたら、「あいつは上司に媚びを売っている」と心ないことを言う人がいるかもしれないが、そんな言葉は気にしなくていい。最大の目的は、仕事上の人間関係で楽しく過ごすことであり、それを満たして出世にもつながるかもしれないのなら、諸手を挙げて喜べばいいだけだ。
そして、あなたが昇進したら、次にあなたのポジションに就いた後輩に注目してあげてほしい。その後輩があなたと同じように、社内外での孤独を感じはじめたとき、気さくに接することができたら、感謝されるとともに、すぐに距離は縮まるだろう。
仕事上の人間関係は、「退職したらおしまい」では寂しいが、義徳さんと部長のような関係は、退職後にも続く可能性の高い、素晴らしいものと言える。
.........目指すは『釣りバカ』のハマちゃん。管理職の孤独を分け合おう
『独身40男の歩き方』
木村隆志 著
CCCメディアハウス
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
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