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靖国参拝で崩れた、真珠湾追悼の「和解」バランス - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月29日 15時40分

 それは「一切の罪を背負う」という覚悟と引き換えに「戦後日本の平和」を、まさに命懸けで祈念して静かに亡くなったということです。遺族もそうした歴史の重み、故人の死の重みをよく理解して、静かな生活を守っておられると理解しています。一部にはそうでない方もいらっしゃいましたが、それはお孫さん世代で、しかもごく一部、そして既に他界されています。

 そんなわけで、現状において、政治的な意味合いを込めて参拝をするということは、正にこの7人の死という事実を政治利用することに他ならない訳です。また、この7人の位置付けをめぐって、70年後に日本と中国が相互に不快感を深めるようでは、この7人の「平和への遺志」が反故にされていることになるからです。

 今回の真珠湾献花で、広島と真珠湾での追悼の相互性というバランスは確保されたのであって、防衛相の靖国参拝は必要なかったのではないでしょうか。外交面でプラスになることは全くないように思います。

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