優秀なチームの「失敗」を止める方法
ニューズウィーク日本版 / 2017年1月5日 20時10分
冒頭のウォリアーズのケースでは、もしかしたら一部の選手たちは、レギュラーシーズンのチームの目標よりも、何か別のことが気にかかっていたのかもしれない。たとえば先々のことを考えて自らの健康状態をキープすることなど。ビジネスでいうと、家庭や、同時に行っている他の仕事、もしくは将来のキャリアチェンジなどが気になって、主チームへの参加意欲が薄れる、といったケースだ。
(1)(2)いずれのタイプの「ズレ」が生じても、チームのパフォーマンスは低下する。時には、低下の理由をチームが把握できないこともある。これは良くないことではあるが、そんな状態を逆手にとることも可能だ。そうなった理由を注意深く反省し、チームのカルチャーを目標達成に役立つものに変えていくことができるのだ。
【参考記事】成長するには「失敗」に必要以上の注意を向けないこと
最大の成果を引き出す「3×3フレームワーク」
私たちは、これまでの研究や経験から、どんな集団からも最大の成果を引き出す方法について、幅広い知見を得ることができた。それを煮詰めたものが「3×3フレームワーク」だ。
「3×3フレームワーク」は3つの土台と3つのステップで構成されている。
土台となる3つの最重要ルールは「目標」「役割」「規範」だ。優秀なチームのメンバーは皆、集団としての「目標」を個人の目標に結びつけている。また、メンバー同士が互いに依存しあえる、明確な「役割」を決めておくことも大事だ。さらに、チームを成功させるには、どのように情報を共有し、どう決定し、対立の処理をどうするか、などいくつかの重要な点に絞った「規範」を設けるべきだ。
3つのステップは「コミット」「チェック」「クローズ」。「コミット」とは定めたルールに積極的に関わっていくことだ。目標、役割、規範を明示した「憲章」のようなものを作成することをお勧めする。「チェック」は「ズレ」が生じていないかをしっかりと確認すること、「クローズ」は、チームメンバーが陥りがちな「言行不一致」をクローズ、すなわちやめることだ。
「3×3フレームワーク」はシンプルであるがゆえに、簡単に実行できそうに思えるかもしれないが、実際には難しい。だが、その難しさを克服したチームは、確実に結果を出すことができるだろう。
ウォリアーズのヘッドコーチ、スティーブ・カーは、4月5日の屈辱的な敗北の後、選手全員に確認した。引き続き記録更新をめざすか、それともプレーオフに備えて体を休めるか。チームは前者を選び、73勝9敗でシーズンを終えた。同様に、フォルクスワーゲンのリーダーたちも、今回の危機を社内カルチャーを見直す機会と捉えているようだ。
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