トランプの娘婿クシュナーが大統領上級顧問になる悪夢
ニューズウィーク日本版 / 2017年1月10日 18時20分
<甘いマスクの下は権力に飢えた冷血漢?トランプの娘婿が次期政権の要職に就くと聞いて悪夢にうなされる人も少なくない>
トランプ次期大統領の政権移行チーム幹部は1月9日、トランプの娘イバンカの夫ジャレッド・クシュナーが大統領上級顧問に指名される見込みだとNBCニュースに語った。カザフスタンやトルコをも思わせる強権的な動きだ。
クシュナーが経営していた企業の取引先には怪しげなところも多く、トランプ自身の事業をめぐる利益相反疑惑に輪をかけることになりそうだ。
クシュナーはトランプの選挙運動と政権移行チームの両方で中心的役割を果たしたとされる。トランプの本当の息子たち、ドナルド・ジュニアとエリックは、不動産王の父が大統領職に就いている間、父から経営権を引き継ぐ見通しだ。
【参考記事】トランプを大統領にした男 イバンカの夫クシュナーの素顔
クシュナーはニューヨーク市で不動産開発事業を手がけており、1月9日まではクシュナーカンパニーのCEOを務めていた。同社は世界中の企業と取引を行っており、クシュナーが政権に参加すれば、諸外国で利益相反が問題になるのではないかという声が上がっている。
クシュナーの弁護士はそうした疑念を否定して言う。「クシュナー氏は連邦政府が定める倫理法に従うと誓っている。われわれは、政権に参加するための手続きについて、政府倫理庁(OGE)と協議してきた」
嫌われたら大変
だがクシュナーは大統領選でも、傘下企業を通じて影響力を行使してきた。たとえば、自ら所有する週刊紙「ニューヨーク・オブザーバー」をトランプの選挙運動のためのプラットフォームとして活用し、2016年7月には「私が知っているドナルド・トランプ」と題する記事を執筆。ホロコーストを生き延びた祖母を引き合いに出し、トランプは一部の人々が非難するような反ユダヤ主義者ではないと主張した。
オブザーバー紙のある元ライターは次のようにツイートしている。「クシュナーの下で働きながら、彼がこんなに権力を持つことについて何度も悪夢を見た」
クシュナーの影響力は、選挙運動やメディア内から政権移行チームへと広がっている。選挙戦中、トランプの右腕的存在だったニュージャージー州知事のクリス・クリスティーを失脚させたのも、クシュナーの意向だったとされている。
【参考記事】トランプ政権移行チーム、「内紛」の真相とは
クリスティーは元連邦検事で、クシュナーの実父を刑務所に送った経緯がある。クシュナーの実父は、脱税や証人買収、違法献金に関与していた人物で、連邦捜査局と手を組み、売春婦を使って人を陥れようとしたこともある。クシュナーが恨みを抱いていることに間違いはない。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
トランプが「倫理規定」に署名拒否、資金源も使途も非公開の米国版「政治とカネ」劇場が始まった!
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月26日 19時5分
-
情報BOX:トランプ氏の政権移行、倫理と安全保障に懸念再び
ロイター / 2024年11月26日 16時7分
-
バカげた閣僚人事にも「トランプの賢さ」が見える...今後を占う「6つのポイント」
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月21日 15時4分
-
金融市場の注目ポイント、「次期トランプ政権」の閣僚人事【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月20日 12時50分
-
ノーベル平和賞を狙う?...第2次トランプ政権の中東政策の行方
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月19日 14時30分
ランキング
-
1「ユニクロは出ていけ」 柳井会長「新疆ウイグル自治区産の綿花使っていない」発言に中国で批判殺到
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月29日 17時8分
-
2韓国、日本企業4社に賠償命令 元徴用工訴訟
共同通信 / 2024年11月29日 18時17分
-
3ジョージア、親欧米路線放棄 「28年までEU加盟交渉凍結」発表 対露接近も
産経ニュース / 2024年11月29日 8時40分
-
4ロシア軍、ウクライナのエネルギー施設に大規模攻撃…100万以上の世帯が停電か
読売新聞 / 2024年11月29日 11時51分
-
5ニュースの核心 ウクライナ防衛線〝崩壊危機〟に英メディア「戦略的な大惨事」 バイデン政権の兵器供与、トランプ氏大統領就任までの時間稼ぎか
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月29日 15時30分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください