iPhoneはなぜ割れるのか?<iPhone 10周年>
ニューズウィーク日本版 / 2017年1月10日 20時32分
<1月9日、iPhoneは10回目の誕生日を迎えた。この間、落とすと割れる画面はずっとそのままだ。よく考えると、それは欠陥じゃないのか?>
アップルCEOだったスティーブ・ジョブズが初代「iPhone」を発表してから1月9日でちょうど10年。金属のボディとガラスの画面で美しさを追求したスマートフォンの誕生で、世界は夢のように一変した。だがその一方、忘れてならないのはiPhoneを誤って落とす愚かなユーザーも後を絶たなかったということだ。
最初の愚か者は誰だったのか、言い当てるのは至難の業だ。試作品のテストをしたアップルの従業員かもしれないし、スティーブ・ジョブズその人だったかもしれない。米ニューヨーク・タイムズ紙が伝えた有名なエピソードがある。ある日ジョブズが鍵といっしょにポケットに入れていたiPhoneの試作品を取り出すと、プラスチック製の画面にすり傷がついていた。iPhoneの発売が1カ月後に迫るなか、ジョブズはアップル幹部に怒りを爆発させた。「すり傷がつくような製品は売らない」「6週間以内にスクリーンをガラス製に変更せよ」
【参考記事】心の病が彼らを偉大にした
この瞬間に、落とすと割れるiPhoneの誕生が決まったわけだ。確かにガラスは傷つきにくい。だが衝撃を受けると割れるのはどうしようもない。そもそも人間は不器用だし、歩道は硬い。割れても使える場合、そのまま使い続けるものぐさなユーザーも続出した。ニューヨークのブルックリンでは、まるでデザイナーが手がけたダメージデニムのような感覚で、割れたiPhoneの画面がステータスシンボルになったこともあった。
デザイン上の欠陥か
iPhoneが世に出るとすぐ、メーカー保証を全く無視した安い修理方法がネットにあふれた。画面の弱さをあてこんだ修理稼業も広がった。大半は、個人や小規模商店が安価で修理を請け負う闇市場だ。割れやすい画面に対するユーザー側の反乱と言えるだろう。あるサイトは用意する道具として、かみそりの刃やハサミなどの他、「怒り、恨み、想像力」も必要だと説明した。
こうしてみると、iPhoneのデザインそのものに大きな欠陥があると言われても仕方ない。優れた設計者なら、製品がどのように使用されるかを予想し、破損につながるような仕様は変更するものだ。だがiPhoneは誕生から10年を経た今でさえ、ちょっと手を滑らせただけで割れてしまう仕様を通している。
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