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中国、次は第二列島線!――遼寧の台湾一周もその一環

ニューズウィーク日本版 / 2017年1月12日 16時30分

 2016年1月2日の本コラム「中国、軍の大規模改革――即戦力向上と効率化」で書いたように、中央軍事委員会の習近平主席は2015年12月31日、中国人民解放軍本部の「八一大楼」で「陸軍指導機構、ロケット軍、戦略支援部隊」創設大会を開催した。



 第二列島線を目指す計画には、どうやらこの日に向けて軍事大改革をより高めていこうという狙いがあるようだ。

 ネットユーザーのコメントの中には「アメリカが南シナ海に来て、中国が太平洋に行く」という、やや皮肉を込めたものもある。

軍事力は及ばない

 それでも実際上、軍事力は及ばないだろうとする評論もある。

 たとえば、1月10日の参考消息網は、空母戦闘力には、空母戦闘群の戦闘力が必要だとして、「他の海洋強国の軍事力には、まだまだ及ばない」としている。そして、「伝統的な軍事行動における中国空母の主要な武力行使の場所としては、やはり今のところ近海地区、特に南海あたりではないだろうか」と冷静だ。

 アメリカの原子力空母「カール・ビンソン」が週内にカリフォルニア州のサンディエゴ港から南シナ海に向かうだろうと、1月3日にアメリカの国防総省報道官が記者会見で述べた。

 空母・遼寧と南シナ海で対峙することになるだろうと、中国メディアは報道していたが、遼寧は早々に(1月11日)台湾海峡を通って母港の青島への帰途に就いたではないか。「太平洋には中国とアメリカの航空母艦が浮かび、にらみ合うことになる」と、中国メディアは伝えていたのだ。しかし今のところ、アメリカの無人潜水艦を拾い上げただけで終わっている。それとも、「常態化」したというのだから、また戻ってくるのだろうか?

 いずれにせよ、習近平政権が第二列島線を視野に入れていることは確かだ。

 1月11日、日本時間夜8時半から中央テレビ局CCTVは「今日のフォーカス」という特別番組で、再び空母・遼寧の雄姿を映し出し、4年間で格段に技術が向上したことを讃え、新しい時代の幕開けを伝えた。

 トランプ次期大統領への対抗措置だけとは限らない。中国の軍事大改革と海洋進出に関する国家戦略が潜んでいる。

 日本はそのつもりで、中国海軍の動きを観察していると事態が見えやすくなるかもしれない。

[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)



※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

≪この筆者の記事一覧はこちら≫

遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


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