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日本はワースト4位、「経済民主主義指数」が示す格差への処方箋

ニューズウィーク日本版 / 2017年1月18日 20時40分

経済民主主義指数

 我々は、OECD(経済協力開発機構)加盟国のうちトルコやメキシコを除く32カ国を対象に、独自に開発した「経済民主主義指数」を算出した。
 
 重視した調査項目は3つある。1つは「職場および労働者の権利」。2つ目は「経済に関する決定権の分配」。これには金融セクターの強さや徴税権の中央集権化の度合いまで様々な項目が含まれる。3つ目は「マクロ経済政策における決定権の透明性と民主化度」。腐敗、説明責任、中央銀行の透明性、政策決定の過程に社会の多様な構成員(ステークホルダー)が関与しているかどうかも、調査の対象だ。

 目を見張るのは、同じ資本主義でもより社会主義的な色合いが濃い北欧の国々と、自由な市場を重視するアングロ・アメリカン(英米系)の国々との間にみられる違いだ。上位にいる北欧の国々では総じてセーフティーネットが手厚く、労働者の権利が守られ、経済活動に関する決定に人々が民主的に参加する仕組みが整っている。それに対して英語圏の国では規制緩和が進み、富が一部に集中して経済の民主化の程度が劣っている。アメリカの順位は特に低く、最下位のスロバキアに続くワースト2。イギリスも32カ国中25位と振るわない(編集部注:日本は最下位から4番目だ)。



 興味深いのは、フランスが8位と比較的上位に食い込んだ点だ。労働者の保護が手厚く、従業員が経営判断に参加できる度合いが高いなど社会主義的な側面が強いということだ。経済的な民主化度は高いので、長年フランスで極右が一定の勢力を保っているのは経済より人種問題が原因だろう。

 とはいえ、仏大統領選の主流派候補であるフランソワ・フィヨン元首相とエマニュエル・マクロン前経財相は2人とも、労働者保護の規制緩和に取り組む構えだ。規制はしばしば、フランスの雇用創出のブレーキになっていると批判されてきた。オランダも同じだ。もし両国が今後、新自由主義的な労働市場改革を推進し続ければ、労働者階級の有権者をルペンやウィルダースに追いやる恐れがある。

 もう1つ、経済民主主義指数で目を引くのは、同じような経済統治を行っているオーストリア(3位)とドイツ(16位)に大きな差が生じた点だ。ドイツの順位が低いのは、労働市場が不安定になり、社会保障の水準が低くなったからだ。とりわけ1990年代に始まった改革の流れを受けて失業者の失業給付金や給付期間を大幅に削減する2005年の労働市場改革(ハルツ改革)が施行されてからは、非正規労働者に対する保障が悪化した。

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