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日本はワースト4位、「経済民主主義指数」が示す格差への処方箋

ニューズウィーク日本版 / 2017年1月18日 20時40分

 社会主義からの移行期にある東欧の経済は、やはり民主化度が低い。例外はスロベニアだ。共産主義や旧ユーゴスラビア解体後の紛争から比較的影響を受けず民主主義体制に移行できたのに加え、労働組合や協同組合が活発に続いている点も高得点につながったようだ。

貧困と格差

 外国人排斥を掲げる政策と、市民による経済活動への参加やエンパワーメントの水準には相関関係がありそうだ。フランスのような例外はあるにせよ、そう裏付ける証拠をこの指数は示している。調査では、国内の貧困や格差が大きいほど、経済民主主義指数が低下することが明らかになった。

 アングロ・アメリカンの社会を見ればわかる。「労働組合叩き」や「フレキシブルな雇用形態を支持する政策」を推し進めた結果、社会保障が削減され雇用不安が増大、貧困層の増加と格差の拡大を招き、移民排斥などの動機を作る。ノルウェーやデンマーク、アイスランドのような経済の民主化で上位につける国々の方が、アメリカとイギリスと比べて格段に貧困率が低い。

 もちろん極右のポピュリズムは、北欧を含め至る所で勢いづいているが、極右台頭の大きな背景は、ここに陥るまでの過程で、安定した収入や労働者の権利は削られ、労働組合や協同組合は骨抜きにされ、経済に関する決定は金融・政治・企業のエリートたちが牛耳ってきたことだ。ブレグジットやトランプ現象、東欧で見られる極右勢力への大衆の傾倒ぶりは、そうした流れを汲んでいる。

 今後の時間軸で何が起きるか予測するため、我々はこれからも国ごとの指数を監視していく予定だ。なかでも注目は、経済民主主義や貧困率と人々の投票パターンの相関関係が、今後数年でどう変化するかだ。リベラルな経済民主主義が直面する危機をめぐり、打開策を探し求めている人にとっても、この指数は有効な指標になるだろう。



Andrew Cumbers, Professor of Regional Political Economy, University of Glasgow

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.




アンドリュー・カンバース(英グラスゴー大学教授)


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