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ロボット化する社員が企業の倫理的問題を招く

ニューズウィーク日本版 / 2017年1月19日 19時8分

 ルールに従うことを要求されると、従業員たちは上からの指示以外の判断をしなくなるのではないだろうか? ルールというものは「これをしてはいけない」とは伝えられるが、「こうすべきだ」とわからせることはできないからだ。

 我々はクライアントに対し、奴隷のようなルールの遵守が、いかに従業員たちに悪影響を及ぼし、問題を発生させるのかを証明してきた。そして彼らに「では、何をするのが正しいと思うか」と尋ねると、ほとんどの経営幹部は罠にはまった。次の3つの質問に答えてみてほしい。

・自分はビジネスにおいて正しい行動をしているか?(100%確信があるか)
・それを正しいやり方で行っているか?(仕事についてどのくらい確実にリスクを管理し、倫理基準を守っているか?)
・それを正しい目的で行っているか?(その仕事をする資格があると自信を持って言えるか?)

 あなたはこれらすべてに、条件付きにしろ「イエス」と答えられるかもしれない。だが、それで十分だろうか? そうとは限らないだろう。我々がクライアントとのセッションで次のような例を挙げたときの彼らのショックを想像してみてほしい。

【参考記事】日本の会社はなぜ「ブラック企業」になるのか



 ナチスドイツを含む過酷な全体主義統治者は、これら3つの質問にすべて「イエス」と答えるだろう。また、多くの相場師やトレーダーも、うまく利益を上げられた日には、3つの「イエス」を揃えることだろう。彼らのせいで損をする人がたくさんいたとしても、だ。

 つまり、ほとんどの行動について上記のような形式で問えば、誰でも自らを正当化して「イエス」と答えることができるのだ。しかし、それが「正しい」わけではない。なぜなら、次の「4つめの質問」が重要だからだ。

・自分がしていることは、正しい道徳的価値観に基づいているか?

 この決定的な質問は、それまでの3つの質問の不完全さを露呈させる。

 リーダーであるならば、物事を判断するための思考のフレームワークをつくるといいだろう。それが企業のカルチャーを正しく把握し改善することにつながるはずだ。

「服従倫理」と「合理性の倫理」は反比例する。一人ひとりの従業員がよく考えて思慮深い判断をすればするほど、ルールに従わなければならないという固定的な考えは必要なくなっていく。逆もまた然りだ。彼らが盲目的にルールに従えば従うほど、自らの行動がどんな結果を招くかなどを考慮に入れなくなる。

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