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講義室をなくし、「反転授業」を実践するエンジニア教育再生の拠点

ニューズウィーク日本版 / 2017年1月20日 17時58分

「ここはアントレプレナー養成機関でもあります。卒業生には『仕事に満足できない』状態になってほしくありません。自分のため他人のために仕事をクリエイトする、あるいは起業する。そのために必要な、ビジネスプランの立て方や会社の設立方法、運営ノウハウを多角的に学んでもらいたいのです」(コジンスキー氏)

 ラソンドでは、最長1年半のインターンシップを行う期間が用意され、単位として認められている。インターンを通じて、リアルなビジネス感覚を養わせるのが狙いだ。起業を志す学生に対しては、大学が最初の出資者やカスタマーになるなどのサポートも手厚い。

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建物内に4つしかないというレクチャールーム。ディスカッション主体の授業がここで行われる。いくつかの座席がクラスター状に集まり、少人数での議論を容易にする。

学生たちの「出会い」を演出するフリースペース。教室での授業後もこの場所でディスカッションが続いていく。

校舎内の壁面はホワイトボードとして使用可。数式を書き込みながらディスカッションする学生の姿がそこかしこに見られた。



コミュニケーションスペース。学生と教員が分け隔てなく交流し、問題解決を図る。

学生たちが集まりディスカッションできるスペースがフロアのあちこちに点在しており、プロジェクトワークの種類に応じて個室も選択できる。Wi-Fi完備で廊下にもスクリーンがある。

大きなセミナールーム。研究発表会、投資家へのプレゼンテーションなど人数にあわせたコミュニケーションスペースが用意されている。

大講堂での講義を減らし、実践に時間を割く

 2つめの理念が「反転授業」。一般的な大学では教授が大講堂で講義を行い、生徒は授業以外の時間に個々の課題に取り組む。しかしラソンドでは、学生はあらかじめ自宅や図書館などでオンライン講義を受け、授業ではディスカッションや実技を行う。

 講義ではなく実践に時間を割く、最新の教育システムだ。そのため建物自体も反転授業に最適化させた。設計に携わったZASアーキテクトのコスタス・カツァラス氏は次のように語る。

「講義室をなくしたかわりに、校舎内の至るところにコミュニケーションスペースを設置しました。廊下のホワイトボードや様々なラボ、地下の広いガレージもそう。反転授業を効果的に行うには、学生たちが時間や空間の隔てなくシームレスに交流しあい問題解決に取り組む、ソーシャルな環境が欠かせません。この大学は授業を受ける場所ではなく、"コラボレートする場"なのです」

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