M&Aは悪? 堀江貴文氏は「金だけが無色透明」と言った
ニューズウィーク日本版 / 2017年2月3日 15時37分
M&Aという概念にも、本当は売りたくもない社長から、金を積んで会社を取り上げてしまうもの、というようなイメージがあるかもしれません。
より能力の高い経営者が企業を譲り受けるというと、なんだか、能力が高い経営者が低い経営者から会社を取り上げ、追い出してしまうかのようなイメージができてしまうと思います。でも、現実はそんなことはありません。
M&Aで会社を売却するとき、売り手のオーナーはちゃんと金銭的対価を受け取っているのです。
企業を相応に成長させた対価をきちんと受け取ったうえで、納得して買い手にバトンタッチするのです。買い手と売り手の合意がなければ、M&Aというものは成立しません。
敵対的買収などという言葉がありますが、これも言葉のあやです。売り手側の株主が合意しているからこそ、買収が成り立つのです。スクイーズアウト、売渡請求等という言葉もM&Aには出てきますが、それ相応の対価も払わずに、勝手に乗っ取ったり、追剥をしたりするような真似は、法律上不可能です。メディアが自分たちで理解できない金融というものを、さぞ悪者のように書き立ててしまっただけでしょう。
先ほどの堀江氏の発言に戻りますが、実は堀江氏はこうも言っています。「金で買えないものは差別につながる。血筋、家柄、毛並み。金だけが無色透明で、フェアな基準ではないか」
先ほどの「金で買えないものなどない」は、堀江氏の発言の一部をメディアが悪意的に取り上げ、おもしろおかしく書こうとしたために、悪い印象になってしまっただけなのです。
M&Aもそうですが、買ったから偉いわけでもなければ、売ってしまったから魂を売り渡したわけでもありません。
売却した売り手は、その功績にふさわしい対価を得て、売り手自身がより自分の能力を発揮できるような事業へと歩を進めることができるのです。
M&Aの仕組みとは、買い手側は自分の能力をより発揮する機会をその会社を買ってくることによって増やし、売り手は売り手で、売却して得た資金を使って自分がより能力を発揮できる他の事業を始められる、ということなのです。
『ビジネスの世界で戦うのならファイナンスから始めなさい。』
正田 圭 著
CCCメディアハウス
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
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