知られざるリオ五輪もうひとつの「日本PR」
ニューズウィーク日本版 / 2017年2月3日 18時9分
日本語教室主宰のIolanda Shitom先生(中央、右がMCを務める筆者)がリオの日系人社会を代表してスピーチ
リオ市、リオの日系人社会を代表する面々と日本酒で乾杯(左から、MCの女性、Rio Nikkei Taiko代表のマリオ氏、Império Serrano代表のVera Lúcia氏、Iolanda Shitom先生、筆者)
また、リオの日系和太鼓グループと、1970年代から日本と最も深く長い関係を持つ名門サンバチームImpério Serrano(インペーリオ・セハーノ)とが、和太鼓とサンバの打楽器とを取りかえた夢のライブセッションも企画した。企画段階では日本の制作関係者は賛同していなかったが、本番は成功して大好評となり、今回プロデュースした日伯交流ステージのハイライトになったと思う。
Courtesy of FOCO2 Jeanine Gall
競技以外はネガティヴな報道ばかりだった
現場スタッフチームによる大きな尽力もあり、結果的に成功したが、日本側のブラジルでの経験や理解、準備不足によるドタバタも少なくなかった。それは、日本とブラジルを結びつける実績やノウハウのある人材が日本の業界で認知・評価・登用されていなかったこと、また途切れてしまっていることが原因ではないだろうかと感じた。
例えば、日本航空などで長年にわたり政財界はもとよりスポーツや音楽など文化面でもリアルな「日伯人間関係」を創出し続けた実績で慕われる吉村恭吾氏や、日本の国策でブラジル移住が行われた時に設立された伝統ある代理店、海外移住旅行社で文化的な現場を繋いで活躍した稲垣達也氏をはじめ、国境や世代を越えた人徳とノウハウを兼備した面々が、かつての日伯交流の現場にはいた。そうした大ベテランや彼らの後継者が今回のプロジェクトには紹介されなかったことが少し残念だった。
ともあれ、私はメインステージのコーディネートとMC、ライブ出演を務めただけでなく、公式サイトのポルトガル語版を作るよう要請(ブラジルで開催されるにもかかわらず日・英・仏語しかなかった)、集客のため、他のイベントやテレビ番組に出演するたびに自らジャパンハウスのイベントについて告知し、フライヤーの制作まで行った。
結果、ブラジルのマスメディアや英BBC、サンパウロの日系メディアに取材を受け、ジャパンハウスが「サンバという手法」(=歌、リズム、踊り、心意気を全員で共有し楽しむ精神)を基本コンセプトに据えたことで、観客もスタッフも一体となり盛り上がった点が最も注目され、伝えられる結果となった。
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