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東大生に育てたいなら、子供を「他人」と思いなさい

ニューズウィーク日本版 / 2017年2月6日 6時30分

だから、親子の会話が大切なのだと著者は言う。それも親が話すのではなく、子供に話させることが重要だ。

ある程度の年齢になれば、とくに男の子は自分の話をしたがらなくなるが、親が何も聞かなければ、ますます子供の世界は遠ざかっていく。このときばかりは他人に対する礼儀(=むやみに深入りしない)はしばし忘れて、親としての"働きかけ"が必要だ。子供がたくさん話してくれるかどうかは、親の「質問力」にかかっているのだ。

もちろん「勉強しなさい」と同じで、「今日は何があったのか?」としつこく聞けば聞くほど、子供は話してくれなくなる。しかし、どういう聞き方をすれば話してくれるかは、子供によって千差万別。重要なのは、自分の子供にはどういう聞き方が適切なのか、だ。

そのために必要なのが、子供を「見る」こと。著者によれば、「見る」「聞く」「話す」のうち子育てでもっとも大切なのは「見る」だという。



子供を見ていない親などいないだろう。だが問題は、きちんと「見えている」かどうか。著者が娘の好きな本についてママ友たちに話すと、よく驚かれたという。みな、子供の好きな本なんて知らないのだ。

このように、自分の子供が好きなものを把握していない親は実は多い。わかっているつもりの人ほど、子供に聞いてみてショックを受けるかもしれない。それでは子供の本当の姿を理解し、適切に働きかけることで、子供の能力を伸ばしてあげられるようにはならない。

そのことについて、著者は「はじめに」でこう述べている。

 本書の内容も大いに参考にはしていただきたいですが、決して、そのまま真似はしないでください。そうではなくて、「あなたの子供にとっては、どうするのがいちばんいいのか」を探し抜いてほしいのです。(本書6ページより)

人を育てることの大変さを思い知る

相手を気遣う、きちんと会話する、よく見る――どれもコミュニケーションの基本だ。だからこそ、親子関係では余計にむずかしいのかもしれない。だが考え方を変えれば、特別なことをする必要はない、ということではないだろうか。

自分から進んで勉強する子に育てるにも、もっと能力を伸ばして東大を目指すにも、結局のところ、親子の健全なコミュニケーションがいちばん大切なのだ。

本書は「お母さんの習慣」となっているが、だからと言って「お父さん」の役に立たないわけではない。むしろ、子供と母親との間にある繊細かつ複雑な空気がよく伝わってくるため、父親こそ読むといいようにも思える。人を育てることの大変さを改めて思い知る一冊だ。

【参考記事】「3.9+5.1=9.0」が、どうして減点になるのか?


『12歳までに「勉強ぐせ」をつけるお母さんの習慣』
 楠本佳子 著
 CCCメディアハウス



ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


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