金正男クアラルンプール暗殺 北朝鮮は5年前から機会を狙っていた
ニューズウィーク日本版 / 2017年2月15日 13時45分
<12日の新型ミサイル発射実験の成功に続いて、北朝鮮の金正恩が放った矢は、異母兄弟の金正男の暗殺だった。韓国の国家情報院によれば北朝鮮は5年前から暗殺を試みていたという>
北朝鮮の金正恩の異母兄弟である金正男がマレーシアで暗殺された、という報道は14日夜、瞬く間に世界中を駆け巡った。
韓国メディアで単独スクープとしてこの事件を伝えたのはTV朝鮮だった。
TV朝鮮の速報 TVCHOSUN 뉴스 / YouTube
それによれば、「金正男がマレーシアで北朝鮮のスパイに毒殺されたものと見られる」と複数の政府関係者が明らかにした。金正男は、13日の午前9時マレーシアのクアラルンプール空港の出入国審査近くにあるショッピングエリアで倒れ、空港から病院に緊急搬送の途中に死亡した。2人組の女たちに毒針で殺害されたと見られ、この容疑者の女たちは犯行直後タクシーに乗り逃走した。
現地のオンラインメディア、スターによると、セランゴール州の犯罪調査局副局長が事件について明らかにした。
「金正男が現地時間で13日午前9時頃、クアラルンプール国際空港で1時間後の午前10時マカオ行き便に搭乗しようとして待っているときに事件にあった。金正男は、搭乗カウンターのスタッフに、『誰かが後ろから押さえつけて、顔に液体をかけられた』と言いながら助けを求めてきた。すぐに空港内診療所に移送された」
「金正男は、頭痛を訴えて気絶しかけており、診療所に搬送されたときには軽い発作も見られた。担架に乗せられてプトラジャヤ病院に運ばれた時に死亡宣告を受けた」
「北朝鮮大使館から遺体を引き取るという要請も受けたが、しかし、我々は遺体を引き渡す前に検視のため解剖する計画だ。15日には検視が行われる」
「現在、警察は空港内の防犯カメラの映像を入手して、金正男に接近した朝鮮人と見られる女性を見つけた。鮮明な顔を得るために映像を分析している」
監視カメラに写る容疑者と見られる人物 연합뉴스 TV / YouTube
空港にいた金正男は「キム・チョル」という名前の1970年10月生まれのパスポートを持っていたという。
見た目と違う正統派エリートだった
金正男は、北朝鮮の金正日の長男でかつては後継者と目されたこともある人物だ。金正日と成恵琳の間に1971年に生まれた。1980年、スイスのジュネーブに留学し、80年代後半ジュネーブ大学で政治外交学を専攻。ここで開放的思考を身につけたとみられる。90年代、北朝鮮に帰ってきた後には後継者としての教育も受けたと伝えられた。
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