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オバマケア廃止・代替案のあからさまな低所得層差別

ニューズウィーク日本版 / 2017年3月8日 19時13分

──さまざまな健康リスクの人が混在していることが、保険料上昇に対する「免疫」となるのだろうか。

その通りだ。

──個人加入義務の廃止は、保険会社には悪い知らせに思える。

保険会社はこの法案に不安を覚えるのではないだろうか。代替案は引き続き病人への保険適用を義務付けているが、健康な人への加入義務は撤廃している。保険会社から見れば、医療保険の加入者で病人ばかりが増えることになりかねない。そうなれば保険料を上げなければならないが、上げられなければ保険会社に損失が出る。

──代替案の保険継続規定はどうなっているのか。また、代替案ではこの問題はどう扱っているか。

オバマケアが画期的だったのは、既往症のある患者の保険加入を拒否できないことにした点だった。代替案も保険会社に同じ義務を課しているが、注意点が1つある。被保険者は継続的に保険に加入していなくてはならないということだ。



怪我や病気などで一時的に休職すると、雇用主を通じた給付を受け続けられないことがある。中断すると再加入時に前より保険料が上がることになる。この規定は人々に、保険を継続しようという気持ちにさせるだろう。

──今回の法案は、退職間近、あるいは最近退職したばかりの人にどのような影響を及ぼすのか。

64歳でまだ企業に勤めている人には影響はないだろう。しかし、既に退職したがメディケア(高齢者向け公的医療保険)の加入年齢(65歳)に達していない人は医療保険に加入しなくてはならない。

──代替案にはメディケアに関する変更点があるか。

今のところ書いていない。ドナルド・トランプ大統領は、メディケアには何の修正も加えないと公約している。しかし、ポール・ライアン米下院議長は、大幅な改革を行うと語った。現時点では、代替案はメディケアに触れていないが、将来もそのままかどうかはわからない。

──代替案で、高額所得者はどんな影響を受けるか?

オバマケアでは、高額所得者はメディケア(低所得者向け医療保険制度)税を多く払わなくてはいけなかった。それがメディケアの大きな収入源となっており、所得再分配に使われていた。しかし代替案にはメディケア税のようなものは含まれていない。

オバマケアの欠点は

──この代替案で得をする人、損をする人は誰か。

裕福で健康な人が最も得をする。さほど裕福ではなく持病があるという人は損だ。貧困層はおおむね、新たな制度の下で今より悪くなるだろう。

──オバマケアの問題は何だったのか。

保険取引所の制度設計が悪かったために、保険会社が徹底してしまった。そのため競争が期待したほど行われなかった。この点は変えなければいけない。

──保険取引所に参加している保険会社が今年から保険料を25%も上げたのはそのためか。

保険料の高騰には2つの理由があった。1つは競争の欠如。もう1つは、予想したほど健康な人が加入しなかったために、費用ばかりが増大してしまったことだ。

だが、代替案だとこの問題がさらに悪化する。健康な人はオバマケアのときより加入しなくなるからだ。


ジェシカ・ワプナー


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