王毅外相「日本は『心の病』を治せ!」――中国こそ歴史を直視せよ
ニューズウィーク日本版 / 2017年3月29日 16時0分
この70%の中には、岩井公館からせしめた高額の情報提供料(日本国民の血税:外務省機密費)によって中共軍を強大化させる資金が入っている。この資金は武器購入以外に、主として民衆を中共側に惹きつけるための(虚偽の)思想宣伝費に使われた。中国共産党というのは「(偽の)宣伝」によって拡大してきたようなものだ。そして昔から「宣伝力」だけは、実に巧みだ。
この「70%、20%、10%」という割合は、「七二一方針」という専門用語として固定化されているほどで、中国語のWikipediaにも載っている。「七」は「70%」、「二」は「20%」、「一」は「10%」の意味である。中国語では「七分」「二分」「一分」と表現することが多い。
その死により天安門事件を惹起した胡耀邦・元総書記は、改革開放(1978年12月)後、真実を語ってもいい時代が来たと思ったのか、1979年2月にスピーチの中で「もし中国人民がわれわれ(中国共産党)の歴史の真相を知ったならば、人民は必ず立ち上がり、我が政府(中共政府)を転覆させるだろう」と言ったことがある。そのスピーチを目の前で聞いていた当時の文学青年、辛●年(しんこうねん。●はサンズイに景と頁)氏(アメリカ在住)は、その証言者の一人だ。
胡耀邦・元総書記が語った「われわれの歴史の真相」とは、まさに筆者が『毛沢東 日本軍と共謀した男』に書いたことであり、その中にはこの「七二一方針」が含まれている。
習近平政権指示――中共の歴史的過ちを語ってはならない
習近平政権が誕生してから言論弾圧が激しくなったことは今さら言うまでもないが、2013年に出された「七不講(チー・ブージャーン)」(七つの語ってはならないこと)の中には、「中国共産党の歴史的過ちを語ってはならない」というのがある。
互いに話をしてもいけなければ、特に教育機関で「絶対に教えてはならない」ということになっている。そのため大学の教室には、いくつもの監視カメラがあり、教師が何を語ったかをチェックするようになっているという。
もし、中国共産党が「知られては困ること」をしていなければ、何も「中国共産党の歴史的過ちを語ってはならない」などという「禁止令」を発布する必要はなく、監視カメラで教員を監視する必要もないだろう。
「知られては困る、建国の根幹に関わる嘘」を抱え込みながら、「中国共産党が如何に偉大で」「抗日戦争時代、いかに勇猛果敢に日本軍と戦ったか」「だからこそ、中華人民共和国が誕生したのだ」などという虚偽の思想宣伝を強化しているからこそ、ますます言論弾圧を強化しなければならなくなっていくのである。
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