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王毅外相「日本は『心の病』を治せ!」――中国こそ歴史を直視せよ

ニューズウィーク日本版 / 2017年3月29日 16時0分



筆者のかつての教え子たち(元中国人留学生)の多くは、すでに中国の大学の教授クラスになっているが、彼らもまた監視の中にあり、絶対に中共政権に批判的なことや懐疑的なことを言うことはできない。もちろん文化大革命とか天安門事件などに触れてはならず、ましていわんや、抗日戦争中に中共軍が日本軍と結託していたなどということなど、おくびにも出してはならない。即刻、逮捕投獄されるだろう。経済学の授業で「国家資本主義」という言葉を使ってしまった元教え子は辞職に追い込まれた。このように、ついうっかり言った者でも拘束されるし、真実を語りたい者は逮捕投獄を覚悟するか、投獄を逃れて海外に逃亡して、海外で発信するしかないのである。

ラージャオ氏:日本はなぜ「中国こそ歴史を直視しろ!」と、主張しないのですか?


先般、『マンガで読む 嘘つき中国共産党』の作者・辣椒(ラージャオ)氏と月刊『Hanada』(2017年5月号。3月25日発売)で雑誌対談をした。彼はわざわざ逃亡するために日本に来たわけではないが、日本滞在中に「帰国したら逮捕される」という情況に追い込まれ、「逃亡」を選んだ者の一人だ。

ラージャオ氏は現在の習近平政権である中国共産党が嘘をついていることを風刺マンガに描いて逮捕されそうになっており、中国のネットユーザーに「売国奴」と罵倒されているようだ。ネットユーザーと言っても、いわゆる中国政府のためにコメントを書く「五毛党」たちなのだが、実は拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』の中国語版(2016年6月、ニューヨークのMirror Media Group)が出版されても、これを罵倒する五毛党たちのコメントが案外少ない。

この現象に関して、ラージャオ氏は「遠藤先生の本は中国共産党の核心をついているので中国政府も批判できない。批判したらますます真実が暴かれてしまうから、中国共産党も見て見ぬふりをしているのですよ」と分析した上で、以下のような疑問をぶつけてきた。

――私はいま日本の重要性がますます高まっていると思っています。これまで日本は常に中国から「お前らは歴史を歪曲している」と言われ続け、実際は歪曲などしていないにも拘わらず萎縮してしまい非常に肩身の狭い思いをしてきた。

なぜ日本は「中国よ、お前たちこそ歴史を歪曲しているではないか」と言わないのか不思議で仕方がないのです。遠藤先生がおっしゃったように国家の成立から嘘をついている。そして中華人民共和国が誕生して以降も、国の正統性を維持するために何千万人という自国民を死に追いやってきました。「中国こそ、歴史を直視しろ!」と日本が言ってくれることで犠牲となった中国人民を弔うことができ、いま大陸で生活している中国人民も救うことができるのです。

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