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一歩も引かないプーチンに、にじり寄る安倍の思惑

ニューズウィーク日本版 / 2017年3月30日 11時30分

もっとも安倍は、プーチンの戦略をよく理解している。その点が残り2つの目的につながっていく。



第2の目的は、プーチン訪日の際に交わした8項目の日ロ経済協力プランが示すように経済上の目的だ。日本はエネルギー分野での経済協力でロシアを北方領土問題の交渉や、平和条約の締結を前提とした関係改善に向かわせようと考えている。

これは、原油供給を中東に依存する日本のためにもなるはずだ。原発を増やせない日本ではエネルギー不足が危惧され、ロシアとの取引が注目されている。もっとも現実的には、多くの日本企業はロシアへの投資に消極的だ。規制が多いことや地政学的なリスクのためだろう。

だが第3の、しかも最重要と思える目的がある。ロシアとの関係改善で中国の動きを牽制できるかもしれないことだ。

【参考記事】止まらないプーチンの暗殺指令

安倍はロシアと関わるリスクを低いとみているらしく、中ロ間の戦略的関係を弱めるものと期待している。日ロの「2プラス2」は、中ロ関係が多少なりと行き詰まったら役に立つかもしれない。

ロシアはいつものように曖昧な態度に終始するだろうから、過大な期待はしないほうがいい。だが日本との関係改善の兆しによって、中国に付き合い南シナ海に軍艦を送り込むコストにロシアが疑念を抱くようになるのなら、安倍のしぶといやり方も悪くないかもしれない。

[2017年4月4日号掲載]

J・バークシャー・ミラー(本誌コラムニスト)


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