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「宇宙兵器」の噂もある米空軍の無人機、軌道飛行記録を更新中

ニューズウィーク日本版 / 2017年4月4日 15時0分

<謎に包まれていた米空軍の無人宇宙機「X-37B」が、地球周回軌道の飛行記録を更新中。空軍は今回のミッションで、試験の内容を一部公開>

米空軍が運用する無人宇宙機「X-37B」が現在、4度目のミッションで地球周回軌道の飛行記録を更新中だ。2015年5月20日に打ち上げられた同機は、第3回ミッションで達成した674日間の軌道飛行記録を先月25日に更新したと、英紙「ザ・サン」などが報道。さらにウェブメディア「Telegiz」は、3月30日の時点で記録を680日間に伸ばし、さらに更新中としている。

X-37Bとは

米空軍が公開している情報によると、軌道試験機(OTV)「X-37」のプロジェクトは、まず1999年に米航空宇宙局(NASA)でスタート。ボーイング社を主契約会社とし、低コストの再使用型宇宙往還機の開発を目指すこの計画は、2004年に米国防総省の国防高等研究計画庁(DARPA)に移管された。結局NASAのオリジナルのX-37は建造されなかったが、この設計を空軍が引き継いで2機のX-37Bを建造したという。

【参考記事】人工磁場で太陽風防ぎ、火星を居住可能に:NASAが新計画を提案

スペースシャトルを小型化したようなデザインのX-37Bは、円筒形の胴体と、三角形の主翼、V字尾翼を備える。全高2.9m、全長8.9m、翼幅4.5mで、打ち上げ時重量は4990kg。電源系は、発電用のガリウムヒ素太陽電池と充電用のリチウムイオン電池を組み合わせている。

REUTERS/Boeing/Vandenberg Air Force Base

打ち上げ時は使い捨ての「アトラスV」ロケットの先端に搭載されて発射され、軌道付近で切り離される(以下の動画は、第4回ミッションで2015年5月の打ち上げられた時の様子)。



軌道飛行のミッションを終えたあとは、スペースシャトルと同様に、大気圏に再突入して滑空し、航空機用の滑走路に着陸する(以下は第3回ミッションの着陸時)。



謎に包まれていた過去のミッション

これまで2機の機体を交互に運用するかたちで、2010年4月〜12月、2011年3月〜2012年6月、2012年12月〜2014年10月と、3回のミッションを実施してきた。



試験機という位置づけのX-37Bだが、空軍は過去のミッションで具体的な試験の内容を機密扱いとしたことから、さまざまな憶測を招くことになった。主なものでは、「宇宙から敵国に爆弾を落とす『宇宙爆撃機』に転用するのではないか」「無人スパイ機として中国の宇宙ステーション試験機『天宮1号』を偵察している」といった説が取り沙汰されてきた。

第4回ミッションで秘密主義を撤回

そうした憶測を招いてきたことへの反省からか、空軍は今回のミッションで、試験の内容を一部公開した。それは、電気推進機の一種である「ホールスラスタ」の稼働実験を宇宙空間で実施することだ(このエンジンを製作したエアロジェット・ロケットダイン社の発表)。同社は、「今回の実験で得られるデータは、ホールスラスタの効率と堅牢性の向上に役立ち、将来の衛星推進装置への応用が期待される」と述べている。

高森郁哉

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