ファッションは芸術たり得るか? 汗と涙のドキュメンタリー『メットガラ』
ニューズウィーク日本版 / 2017年4月17日 12時20分
さまざまな服を着たマネキンがまるで生き物のように感じられた。お店でハンガーにかかっている服とは違い、生き物のように見えたんだ。ほかのギャラリーに展示されている美術品や彫刻と同じようなレベルまで、それらの作品は昇華されていた。これが僕の答えだ。
15年の企画展「鏡の中の中国」 ©2016 MB Productions, LLC
――1人の人間が物の見方を変えることもある、そんな可能性を見せてくれた映画だと思う。あなた自身が発見したものは?
作り手として、映画作りの中で学んださまざまな教訓を真に自覚するのは難しいことでもある。もちろんアートとしてのファッション、伝達手段としてのアートというものへの理解は深まったし、METに身を置くことで美学というものの伝統への認識を深めることもできたが。
僕がすごくわくわくしたのは、(映画監督の)ウォン・カーウァイを撮影できたこと。彼は「鏡の中の中国」展のクリエイティブコンサルタントを務めていたが、例えば中国文化を表現するときに気遣うべき点について、すごく穏やかに、でもしっかりとボルトンを導いていた。そこにすごく感銘を受けた。
映画ではカットしているが、照明デザインやインスタレーションへの貢献でも素晴らしいものがあった。柔らかいけど的確な、物事への関わり方は見ていてとても興味深かった。
大橋 希(本誌記者)
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