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共謀が罪なら、忖度も罪なのか? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2017年4月25日 15時20分



野党側は、共謀罪ができたら警察が為政者の意向を忖度して、反対派をどんどん逮捕するだろうなど主張をしていますが、この共謀罪では、忖度そのものも、あるいは忖度を誘発した権力者の側も計画だけで犯罪になる可能性があるわけで、与野党ともに、ここは冷静になって考えてみた方が良さそうです。

アメリカでは、確かにテロや麻薬取引などの重大犯罪に関して、共謀だけで重罰を加えるような法体系になっていますが、少なくとも「低コンテキスト社会」、つまり必要なことにはコミュニケーションの記録が残る程度が高い社会ですので、憲法に定められた基本的人権との齟齬が生じるケースは少ないです。

ですが、日本のような「あうんの呼吸」や「空気」でコミュニケーションが行われる社会では、共謀とは何かという問題が限りなく拡大解釈される危険性があり、法体系として安定したものにはならない懸念が強く残ります。

その他にも、謀議参加者と称するニセの密告で冤罪が作られる危険性、SNSやメールの一方的な勧誘などをスルーしたことで共謀への参加を「拒否しなかった」からと罪に問われる危険性など、「反論のしにくい高コンテキスト社会」では制度的に無理がある点も指摘されています。あらためて、慎重な議論が強く望まれます。

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