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ホッキョクグマを閉じ込めたままでいいのか

ニューズウィーク日本版 / 2017年4月25日 17時25分

<また動物園のホッキョクグマが死んだ。ストレスを抱えやすい性質で、症状を抑えるために抗鬱剤を与える動物園もある>

カリフォルニア州サンディエゴのシーワールドが、ホッキョクグマのスノーフレイクを繁殖のためピッツバーグに送ると発表したとき、何千件も抗議が寄せられた。20年来のパートナー、セーニャと引き離すのはかわいそうだ、というのだ。

実際、スノーフレイクがいなくなって数週間後の4月18日、セーニャは死んだ。

You bloody murderers!! #Szenja #PolarBear https://t.co/Pnc29ZMGGE— Siddharrth Jain (@TweepleLeaf) 2017年4月20日


死んだセーニャの写真を添えて動物園の責任を問う投稿


動物のなかでもホッキョクグマは、とりわけ檻の中の生活に向いていない。北極の広大な氷と海があってこそ初めて繁栄できる種だ。放浪し、狩りをし、泳げなければならない。動物園には対応できない。

オックスフォード大学のある研究によれば、典型的な動物園のホッキョクグマの囲いの広さは、自然のなかの最小の行動圏の約100万分の1しかないという。

【参考記事】日の当らないモールで見世物にされたシロクマに光明?

明らかな異常行動

アメリカの動物園ではこれまで数十頭のホッキョクグマが命を落としている。多くは寿命よりはるかに若くして死んだ。死因は喧嘩や有毒物、麻酔など様々だ。

人間が檻に投げ込んだ瓦礫を食べて苦しんで死んだり、蚊が媒介する西ナイル熱に感染したり、サルモネラ菌にあたることもある。

檻の中に入れられると、ホッキョクグマは異常な神経症状を起こしやすい。昼夜を問わずいつまでも泳ぎ続けたり、同じところを何度も行ったり来たりするような常同行動が発現する。そうした症状を和らげるため、抗うつ剤を与える動物園もある。

I would go to the Central Park Zoo all the time before work to visit #Gus. He will be missed:( #polarbear pic.twitter.com/Nj9kwwEdBQ— Casey Dolan (@CaseySez) 2013年8月28日


セントラル・パーク動物園のガス


ニューヨークのセントラル・パーク動物園のガスを覚えているだろうか。毎日12時間、何カ月も泳ぎ続けた。パートナーが死んだ後、落ち込んで心を閉ざしてしまった。高齢で腫瘍にも侵されていたため、最後は安楽死させられた。

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