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中国は北にどこまで経済制裁をするか?

ニューズウィーク日本版 / 2017年5月1日 20時50分

国連における経済制裁や韓国のパククネ政権時代の開城(ケソン)工業団地閉鎖などに伴い、2010年前後までは対中依存度が約50%程度だった北朝鮮の貿易は、今では対中依存度90%にまで達していることが分かった(WTOデータなど)。

中国が政府として一定程度の経済制裁をしていてもなお、貿易額が減少せず、あたかも北朝鮮の経済を中国政府として支えているように見えるのは、この辺境貿易があるからだ。

一党支配体制で絶対的ヒエラルキーがあるはずの中国で、なぜ政府の命令に逆らって辺境貿易がはびこるのかという疑問があるが、これは「なぜ国有企業の構造改革ができないのか」という疑問と同じで、回答はただ一つ、地方人民政府の力が強いからだ。




改革開放に当たって、鄧小平は地方人民政府同士を競争させた。文化大革命で、中国経済が壊滅状態にあり、国の財産があまりに乏しかったからである。そのため地方人民政府による偽装GDPの中央政府への報告という現象も起きたが、実は中国は地方政府がまるで「一国一城の主」のような要素を持っているというのが、中国の他の一面でもある。一党支配体制では想像しにくいかもしれないが、中国経済に致命的な供給側の構造改革が進まない理由もそこにある。

同様に、「銭に向かって突進してしまった庶民のエネルギー」は、辺境であればあるほど、まだまだそのポテンシャルは高い。網の目のようにくまなく浸透してしまった辺境貿易を全て取り締るのは、容易ではない。

最近、中央テレビCCTVでは、中国政府が禁止した無煙炭の輸入を未だにこっそりやっている小規模企業の経営者の摘発などを盛んに報道している。逮捕された若い経営者が「禁止されているなんて知らなかった」と告白する場面をクローズアップすることもあれば、「取締りがもっと厳しくなるだろうから、今のうちに輸入して金儲けをしておきたいと思った」などという告白もある。そのため、かえって貿易額が増加している品目もある。

核兵器製造に必要とされる物品の輸出に関しては、中国は早くから禁止しているが、その法の網を潜り抜けて大企業に成長した「遼寧鴻祥実業発展公司」の経営者・馬暁紅が中米両国の協力で昨年逮捕されたことは象徴的だ。

第6回目の核実験がなくても中国は石油を止めるべき

トランプ大統領の褒め殺しによって追い詰められた習近平国家主席は、いよいよ決断の時が来たはずだ。

ティラーソン米国務長官は27日、「中国が北朝鮮に対し、『再び核実験を行えば独自制裁を科す』と警告したと、アメリカ側に伝達した」と語った。

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