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トランプは金正恩とハンバーガーを食べるのか?

ニューズウィーク日本版 / 2017年5月3日 11時11分

つまり北朝鮮問題は冷戦期の米ソ対立が残したものであり、ソ連崩壊(1991年12月)の時点で、西ドイツと東ドイツが統合したように、38度線の削除まではいけなかったかもしれないが、せめて「休戦協定を平和協定」に持っていき、朝鮮戦争を終了させておくべきだっただろう。

それができなかったのは、アメリカのアジア支配を、アメリカが捨てることができなかったからだ。中国がまだ、共産圏として残っている。中朝が「仲間」として頑張っていれば、共産圏を包囲しておきたいアメリカの気持ちは理解できる。「嘘」で塗り固めた独裁国家が地球上で覇権をほしいままにするのは良くない。

また、日本国民を巻き添えにする北朝鮮の暴走は早急に止めなければならない。

オバマ政権が「対話と圧力」の「忍耐戦略」を続けたのは間違いだ。

トランプ大統領は、そのオバマ政権の方針を徹底的に打ち砕きたいのだろう。ティラーソン国務長官は「アメリカの20年間にわたる対朝政策は、失敗だった」と何度も述べた。

その失敗を成功に持っていくために「シリア攻撃」があったのだろうと筆者は見る。

ピクルス付きのハンバーガー

その前に金正恩とハンバーガーを食べたのでは、この「あまりに遅すぎた」会食を有効には使えない。

そこでシリアに59発ものミサイルを投下した。

米韓合同演習を口実に、北朝鮮を軍事的にほぼ完全包囲した。

北朝鮮と軍事同盟を持っている唯一の国である中国も、ほぼ完全に懐柔して(褒め殺して)懐柔した。

これだけの下準備をした上で、ハンバーガーを食べるわけだ。

中国がいま「断油」(北朝鮮への石油輸出を断つ」を断行して北朝鮮を追い込めば、「適切な状況(the right circumstances)」はさらに整うと言えようか。これならば、北朝鮮に大きな譲歩を引き出せる。

これがドナルド・トランプの交渉術、ビッグ・ディールだ。

こうして食べるハンバーガーの味は、ピクルスを添えた程度には良くなっているだろうか。

冷めない内に食べてほしいものである。そうすればドナルド・トランプは、歴史に残る名大統領となると確信する。

[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)



※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


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