なんと、北朝鮮が「一帯一路」サミットに ?!--文在寅効果か?
ニューズウィーク日本版 / 2017年5月11日 20時13分
武器より「銭」を!
中国が望んでいたのは北朝鮮が改革開放することである。
だからこそ、5月1日付のコラム「中国は北にどこまで経済制裁をするか?」でも書いたように、地方人民政府が許認可権を持つ辺境貿易を許してきた。
「金持ちになった方が、武器を持つより強くなれるよ」!
「お金って、いいものだよ!」
「リッチだと、国力も上がるよ!」
それを北朝鮮に教えて、改革開放を促してきたわけだ。
金正恩の父親の金正日(キム・ジョンイル)は、改革開放に気持ちを傾けた時期があった。しかし、その意図で訪中してから間もなく他界してしまった。
息子の金正恩は、権力基盤を固めるためか、強硬な姿勢に走り、片意地を張って周辺国に危機感ばかり植え付けてきたが、あんな人物にも、「北風よりも太陽」の方がいいのだろうか。
核・ミサイル開発をやめてくれるのなら、戦争よりは対話路線の方が関係国にもいいに決まっている。
一方的な、脅迫的経済支援を相手に求めるのでなく、もし本気でグローバル経済の中に入ってくるのなら、関係国は歓迎だろう。
習近平国家主席は本日、韓国の文在寅大統領と電話会談をして、そこでも「一帯一路」への協力を呼び掛けている。もちろん、朝鮮半島の平和を具体的な行動で推進するように望むことを前提としての話だった。具体的な行動とは、言うまでもなく、THAADを配備しても、稼働させないということだ。アメリカにトランプ大統領が要求してきたTHAAD配備代金を支払わないことも、きっと含まれているだろう。
中国の野心
中国の中央テレビ局は、連日連夜「一帯一路」国際サミットで燃え上がっている。
本日(5月11日)に中国外交部の李保東副部長(外務次官)で「一帯一路」国際サミット準備委員会の秘書長が発表したところによれば、「29カ国の首脳と、130ヵ国の国家代表、および70ほどの国際組織が参加する」とのこと。
また、「一帯一路はメンバー制ではなく、いつ誰が手を挙げても受け入れる」と、中国政府通信社のウェブサイト「新華網」は説明している。
ただ、私たちは今世界がどこに向かおうとしているかに静かに目を向けなければならない。
トランプ大統領のTPP徹底から始まって、世界のグローバル経済の中心は中国に集中しつつある。1月17日のダボス会議における習近平国家主席の基調演説は、まるで「これからのグローバル経済の旗手は中国である!」と宣言しているようだった。
EUも存続が危ぶまれている。
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