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トランプ降ろし第3のシナリオは、副大統領によるクーデター - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2017年5月16日 11時0分

<トランプのロシア疑惑はニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件を連想させるが、「トランプ降ろし」には弾劾だけでなく「副大統領と閣僚によるクーデター」という方法もある>

先週9日に、FBIのジェームズ・コミー長官がトランプ大統領によって突如解任されたニュースは、週明け15日になってもトップニュース扱いが続いています。

当面の問題は、FBIの次期長官に誰がなるかですが、民主党は「ロシアとの癒着疑惑に関する特別検察官を設置しないとFBI長官の承認審議には応じない」という、強硬姿勢を崩していません。この特別検察官設置については、15日に発表されたNBCとウォール・ストリート・ジャーナルの合同世論調査では78%が「必要だ」としているわけで、大変に深刻な事態です。

ロシア疑惑関連では、15日「ワシントン・ポスト(電子版)」が伝えたところによると、先週トランプ大統領がロシアのラブロフ外相と会談した際、同盟国にも出していない国家機密情報を流したという疑惑も飛び出しています。

【参考記事】ニクソンより深刻な罪を犯したトランプは辞任する

その一方で、大統領は「コミー前長官への脅迫」であるとか「ホワイトハウスの定例会見を止めてもいい」などと、いきあたりばったりの発言をしてさらに評判を下げています。支持率もジリ貧で、「リアル・クリアー・ポリティクス」での支持率平均値も、41%近辺で下降中になっています。

もう一つ気になるのはホワイトハウス内の組織に動揺が出ているという報道で、例えばショーン・スパイサー報道官への大統領の信任が揺らいだとか、ケリーアン・コンウェイ大統領顧問が政権に距離を置き始めたなどという、真偽のほどはともかく、従来ではあり得ないような報道が見られます。

では、今後のシナリオとして考えられるのはどんなストーリーなのでしょうか? 2つ頭に入れておかなければならない問題があります。

1つは、政治日程です。2018年11月には中間選挙があります。また2020年には大統領選があります。そんな先のことは分からないとはいえ、少なくとも中間選挙については来年の年明け以降は政局として選挙を意識することになるわけですから、そこから逆算していく必要があります。



2つ目は、問題の性質です。例えば現時点の状況、つまり大統領とその周辺にスキャンダルの疑惑があり、同時に大統領の資質が幅広く疑われるとなると、72~74年に発生した「ウォーターゲート事件」を思い起こす、そんな声が日に日に高まっています。ウォーターゲートの場合は、弾劾という流れになって、下院決議で弾劾決議がされる直前に大統領が自発的に辞任する結果となりました。

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