日本はAIIBに参加すべきではない--中国の巨大化に手を貸すな!
ニューズウィーク日本版 / 2017年5月17日 15時15分
しかし、どうかだったか?
天皇陛下訪中を見た西側諸国は経済封鎖を解き、アメリカなどは、むしろ非常に積極的に中国への経済支援に邁進した。そうすれば、やがて中国が民主化するだろうなどという、あり得ない期待をしていたからだ。
その結果、2010年には中国のGDP規模は日本を凌駕し、日本への「歴史カード」を、これでもかとばかりに突き付けてくるようになる。
日米ともに、まんまと中国の長期戦略の罠に嵌ったのである。
こうして日本は中国に「洗脳」され続けては、中国を支援し、今では「友好」の名のもとに中国に「頭を下げて」、日本の国益を決定的に損ねる道を歩むことを、今もやめようとしていない。
それがAIIBへの参加であり、一帯一路への協賛なのである。
「中華帝国」の夢
このたびの一帯一路サミットで、習近平国家主席は「中国は決して思想や政治体制を輸出しないし、内政干渉をしない」という主旨のスピーチをしている。
本当だろうか?
たとえばモンゴルの場合。
仏教徒の多いモンゴルは昨年、ダライ・ラマ14世を招聘した。中国は抗議し、もしダライ・ラマを選ぶのなら、一帯一路には参加するなと脅しをかけてきた。
モンゴルは、チャイナ・マネーを選んだ。思想、精神文化の自由を犠牲にして、中国の思惑を選んだのである。
フィリピンのドゥテルテ大統領は4月末、トランプ大統領と電話会談した際に、トランプ大統領から「ホワイトハウスに来ないか」と訪米の誘いを受けた。しかしドゥテルテ大統領は「他国の訪問など、忙しくて」ということを理由に訪米を断っている。そして北京詣でをして一帯一路サミットに参加し、習近平国家主席と首脳会談を行ったのだ。
その前に開催されたASEAN首脳会議の共同声明から南シナ海問題をドゥテルテ大統領は削除させ、朝鮮半島情勢に関してのみ「ASEANは深く懸念している」とした。そして中国同様、北朝鮮とアメリカの軍事的緊張を緩和すべきだと記者会見で述べている。
このように、有形無形の圧力を中国は関係国にかけ、やがて「中国の思想」に染まった「中華帝国」を築いていく夢を実現させる野心を潜ませているのである。
一帯一路構想は「文化」が重要と、中国
CCTVでは連日、一帯一路特集番組を組んできたが、その中で「鉄道、道路、空港、港、パイプライン」などのハード面も大切だが、最も重要なのは「文化」「精神」といったソフトパワーだと断言している。ソフトパワーは「戦わずして勝つことのできる最強の武器」とも強調。
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