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豪華なドーナツ型新社屋はアップルの「墓標」になる?

ニューズウィーク日本版 / 2017年5月31日 19時48分

【参考記事】iPhoneはなぜ割れるのか?<iPhone 10周年>

さらに問題なのは、これまでに挙げた4強と比べると、アップルがデータ収集で遅れているとみられる点だ。同社のドル箱であるiPhoneおよび「iOS」がスマートフォン市場に占めるシェアは20%にすぎない。残り80%のスマートフォンユーザーに関するデータは、グーグルが占有しているということだ。

アップルには、検索やソーシャルネットワーク、大規模なオンライン小売業、クラウドなどデータ収集に役立つサービスがない。音声アシスタントのSiriも、今ではアマゾンのアレクサやグーグルの音声サービスに遅れを取っている。

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このように、データ収集に関わるあらゆる分野で、アップルは4強に劣る。とくに機械学習が主流となった今では、絶え間なく流入するデータの量によって、勝者と敗者の差は広がる一方だ。

アップルが今後、アルファベット、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブックという4強に追いつくシナリオはなかなか見いだせない。

誰もが欲しがる優れたハードウエアを販売する事業は、今後も長きにわたり、実入りの良いビジネスとして続いていくだろう。それは、自動車や冷蔵庫の製造販売が良いビジネスになりうるのと同じだ。

しかし、データを活用し、機械学習を駆使した未来を新たに作り出していくという点では、ビッグ5のうちアップルを除く4強のほうが良い位置につけているようだ。

そんな中アップルは、1万2000人の従業員を巨大なドーナツ型の新社屋に引っ越しさせようとしている。2階建てのヨガルームを併設するフィットネスセンターが設けられており、その総面積は約9300平方メートルに達する。

米ワイアード誌はこの施設の内装について、このように伝えている。「カンザス州にある指定の石切場から切り出され、まるでウォッシュアウトジーンズのように『新品に見えないよう入念に加工された』大理石が敷き詰められている。このような加工が行われたのは、スティーブ・ジョブズが一番気に入っていたヨセミテにあるホテルの内装と、見た目を同じにするためだ」

豪華な社屋を建てたすべての企業が没落するわけではないが、そうした事例はこれまでも数多く発生し、注目を集めてきた。



シリコングラフィックスは、業績の絶頂期に広大な敷地を持つ本社を建設したが、2003年にはこの施設を当時急成長していたグーグルに売却した。

AOLタイム・ワーナーは合併したばかりの2000年に、ニューヨーク市内の一等地で巨大な本社の建設に着手したが、その直後に株価が暴落し、史上最悪の合併劇の1つとの烙印を押された。

とはいえ、アップルには優れた人材がそろっており、あっと驚くような素晴らしい新製品を発表し、他社を突き離す可能性もある。2600億ドル近い現金も保有している。これは、GE(ゼネラル・エレクトリック)やAT&T、あるいはビールメーカーのアンハイザー・ブッシュ・インベブを買収できるほどの金額だ(そうなれば「アップル・ビール」が実現する!)。

だが、アップルの壮大な新社屋がいつか、かつて時価総額が8000億ドルに達した頃の栄華を後世に伝えるモニュメントになる日がやってくる可能性も、同程度にある。

(翻訳:河原里香/ガリレオ)


ケビン・メイニー


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