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ミャンマーで人権問題担当の女性記者襲撃 「報道の自由」にスー・チーの力及ばず

ニューズウィーク日本版 / 2017年6月2日 14時20分

ミャー記者が勤務するカンタラワディー新聞は5月28日に声明を出し、犯人の男性はカウン・サンとセイン・ウィンという氏名ですでに警察がその行方を捜査中であることを明らかにした。

またミャー記者は約2週間前から何者かに脅迫を受けていたこともわかったが、今回の犯行との関係、さらに同記者の記事や取材活動と事件の関係もまだ明らかになっていないという。



同新聞社は声明の中で東南アジア報道連盟(SEAPA)の「今回のような襲撃事件はミャンマーにおけるジャーナリストの立場が依然として弱く、危険であることを示した。特に女性記者そして地方の記者の立場はさらに厳しい」というコメントを掲載。DVBもHPで事件の詳細を伝えるとともにミャンマー女性ジャーナリスト協会報道官の「ミャンマーの女性記者、いや全ての女性の立場は弱く、地方に行けば行くほど状況は厳しい。地方では身の危険があるため移動手段、交通機関の確保が難しい」との指摘を取り上げている。

射殺されたスーチーの法律顧問

軍政に替わってスー・チー政権が誕生し、ミャンマーで民主化が実現したことは事実。だがスーチー政権は、国民の大多数を占める仏教徒と依然として政治に大きな影響力をもつ国軍という2大パワーの狭間で顔色を伺いながらの民主化に過ぎないのが現実である。

スー・チー政権誕生を契機にミャンマー各地で政府軍による弾圧、人権被害を受けていた少数民族は問題解決への大きな期待を抱いた。だが、少数派イスラム教徒である西部ラカイン州に多く居住するロヒンギャ族への冷遇、差別、軍による人権侵害は依然として続いており、スー・チーさんは東南アジア諸国連合(ASEAN)のみならず国際社会から厳しい批判を受けている。

今年1月29日には、スー・チーさん率いる政党「国民民主連盟(NLD)」の法律顧問で少数派イスラム教徒のコー・ニー氏が中心都市ヤンゴンの国際空港で射殺されるという事件も起きるなど、問題解決や憎悪表現に暴力や殺人という手法が用いられるなどいまだに軍政時代のダークゾーンが幾重にも残されている。

民主化とともに、軍政時代には官製報道一色だったミャンマーのメディアもかなり自由化された。「報道の自由度ランキング」で2017年のミャンマーは世界180カ国中131位にランク付けされ、2016年の143位から前進している。東南アジア10カ国中でもインドネシア(124位)フィリピン(127位)に次ぐ3番目の自由度と評価されている。

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