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18歳少女歌手の衣装・振付に難癖 タイ軍政トップの逆鱗に忖度?

ニューズウィーク日本版 / 2017年6月16日 18時43分

<ビキニのような衣装で前後にお尻を振りながら歌うセクシー演歌はタイの文化か否か? 軍政トップのプラユット首相と庶民の間に大きなずれ>

タイ社会が一人の18歳の女性歌手を巡って大きく揺れている。タイの演歌ともいわれるルークトゥンの歌手ラムヤイ・ハイトーンカムさん(18)はタイでは知らない人はいないほどの人気者でYouTubeの動画再生回数は1億回を超えるほど。いまやタイを代表する演歌歌手でもある。

ラムヤイさんはステージではビキニのようなセクシー衣装を身に着けて腰を大きく前後に激しく振る「twerk(トワーク)」というヒップホップダンスのような振付で踊るスタイルで、伝統音楽を学んでいたこともあり歌唱力も抜群、大ブレイクしていた。

ところが6月9日に軍政トップのプラユット首相が議会の会合でラムヤイさんの衣装と振付について「タイの文化とは相いれない、若者への影響を考えると問題である」と注文を付けた。さらに同月12日、13日にもラムヤイさんに苦言を呈する中で「メディアは警告するべきだ」などと発言、タイのメディアが一斉にラムヤイ批判を報じたため大きな話題になった。

タイは敬虔な仏教徒が多数を占める。イスラム教徒のように女性の服装には厳しくはなく比較的自由だが、過度の露出やセクシーな衣装は「性犯罪を助長する」「仏教文化にそぐわない」との認識がある。豊かで寛容なタイの文化とおおらかなタイ人の性格から風俗や習慣にも緩やかな部分が多いものの、公衆の面前やテレビ番組などでは慎み深さが求められる。

【参考記事】タイを侵食する仏教過激派の思想

プラユット首相の言い分はこうだ。「あの衣装と踊りはなんだ。恥ずかしくないのか」「国民やメディアは彼女に警告して欲しい」「商業主義はわかる、何か売りを考えないといけないこともわかる。しかしこの衣装と踊りは適当だろうか。タイらしさを守らなくていいのか」「外国の影響だ」などと、ほとんど「イチャモン」に近い。しかし軍事クーデターで政権を握った軍政のトップだけにその発言には重みがある。

ラムヤイさん側は忖度して自粛

軍政トップからの苦言に対し、ラムヤイさんの所属音楽事務所は、衣装の過激度を改善し、ヒット曲「ナイン・フロアーズ」に合わせて曲中に9回やっていた「トワーク」の数を3回に減らすことを進んで約束。プラユット首相から指示があったわけではないがその心中を忖度して、自主規制したのだ。

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