トランプが特別検察官ムラーを恐れる理由
ニューズウィーク日本版 / 2017年6月27日 18時16分
トランプと側近たちは、そうした証拠の隠蔽を図っているようだ。最近のUSAトゥデイのスクープ記事が、「トランプ大統領が米大統領選で共和党候補に選ばれて以降、彼の会社が扱う不動産の大部分がペーパーカンパニーに売却されており、購入者の身元ははっきりしない」と報じたからだ。
さらにロイターは、「ロシアのパスポートまたは住所を持つ少なくとも63人が、フロリダ州南部にあるトランプのブランドを冠した豪華タワーマンションで、少なくとも9840万ドル相当の物件を購入した」と伝えた。トランプの息子エリック・トランプは、ロシアの投資家たちがトランプのゴルフコースに投資していると2014年に自慢していたという噂もある。
そうした報道は断片的であれ、証拠が不十分であれ、「自分はロシアと全く関係ない。借金もない。取引もない」と言ってきたトランプをあざ笑うものだ。
トランプと確実に取引をしていたのは、ロシア系アメリカ人ビジネスマンのフェリックス・セーターだ。マフィアが絡む株式詐欺である男を恐喝し顔を刺した前科のある男だ。セーターはその後、不動産会社ベイロック・グループを立ち上げた。ベイロックはトランプタワーのなかにあり、トランプオーガニゼーションと共同でトランプソーホーホテルなどを建設している。
トランプをずっと追いかけてきたブルームバーグのティモシー・オブライエンによれば、ジョディ・クリスというベイロックの元社員は、「ベイロックが実際はマネーロンダリングのための隠れみのだとわかったので辞めた」と言っていたという。
また1990~2002年ごろまでトランプオーガニゼーションでトランプの右腕だったエイブ・ワラシュという元社員は、「たくさん金があって取引をしたがっていれば、探さなくてもトランプは向こうから表れる。ドナルドは資産評価などしない。直感と相手の遺伝子が頼りなんだ」
こんな環境でこれまでビジネスをしてきたとしたら、ボブ・ムラーの捜査など受けたいだろうか。トランプがコミーに続いてムラーも解任しようとしたと言われるのも無理はない。
From Foreign Policy Magazine
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マックス・ブート (外交問題評議会シニアフェロー、国家安全保障が専門)
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