傷ついた人々が95万人──ウガンダの難民キャンプにて
ニューズウィーク日本版 / 2017年7月11日 17時10分
道を急ぎ、ビディビディ居住区近くのユンベという場所へ車を走らせた俺たちの前に、対向車として何台かの大型バスが近づき、がたがた揺れながら消えていった。それもまた国境で難民を集め(荷物は荷物として別なバス)、登録所へ運んでくる車両だそうだった。こんな時間にもまだ、と驚いているとさらにバスは来た。
「5万人規模のキャンプでこうですからね。ビディビディは20万を越えて、ひとつの都市になっています」
と広報の谷口さんは言った。実はそのあと難民はさらに増え、これを書いている2017年6月下旬現在、ウガンダ全体では95万人、うちビディビディに27万人、インベピに10万人という状態になっているそうだ。
狭い道を走っていると、道端に少年たちがいてそれぞれに自前で作ったらしい弓と矢を持っていた。登録所から同乗していたMSF現地スタッフが以前撮ったという映像をスマホで見せてくれたところによると、猿を射て食べるのだそうだった。彼自身は「うまいとは言えない」そうだったが、あたりび食糧事情からすれば馬鹿にできないタンパク源なもかもしれなかった。
と、見ると一人の少年の腰に、確かに灰色の猿が一頭だらりとぶら下がっていた。少年は誇らしげに左右を見ながら歩いていた。
ユンベ県都ユンベ
ユンベという町に着いたのは18時過ぎ。
そこにMSFの宿舎があった。
世界中どこでもそうであるように、MSFのロゴマークのついた鉄扉が開く。中には左手にまず広いかや葺きの小屋があり、右手に大きなマンゴーの樹があった。
実る巨木
小屋には数人の外国人派遣スタッフがいて、俺たちをあたたかく出迎えてくれる。各人と握手をして名乗りあったのもつかのま、付近にあるMSFの別施設を見学することになる。というか、俺的にはどこに泊まるかわからないまま、あちこちに移動している感じだ。
スタッフが「ファーマシー(薬局)」と呼んでいる場所へ車で行くと、そこにも外国人派遣が数人、奥の小屋のベンチの上に座っていた。
挨拶をしてベンチに座ると、ベランジェリイ・ゲ、通称ベラという女性とドゥニ・バドゥヴァンという男性が現在の難民居住区の状態をくわしく説明してくれた。彼らフランス人スタッフはどちらもプロジェクト・コーディネーターで、拡大する緊急援助活動の現地責任者だった。
さて、ビディビディは5つのゾーンに分かれており、もともとは昨年の8月に始まった居住区であり、MSFは緊急の対応としてすかさず包括的医療とWATSAN(水と衛生)のスタッフを送り込んだが、居住区はなんと12月にはいっぱいになってしまい、インベピを増設するに至ったとのこと。現在、他の人道団体を含めて食糧、住宅ともにうまく供給が出来ているのだそうだ。
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