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母ダイアナの死と心の傷を乗り越えて ヘンリー王子独占インタビュー(後編)

ニューズウィーク日本版 / 2017年7月26日 17時30分

【参考記事】ダイアナ元妃は、結婚前から嫉妬に苦しんでいた

こうした「共感力」が最もよく現れるのは、ヘンリーが軍人仲間のような人々と触れ合うときだ。慈善団体ヘルプ・フォー・ヒーローズの退役軍人医療センター訪問に同行したのは、よく晴れた寒い日だった。たき火の傍らで数人の男がおしゃべりしながら、心理療法を兼ねた木工作業に励んでいた。

彼らは全員、英軍の傷痍軍人だ。肉体的な傷はほぼ癒えたが、鬱やストレスやアルコール依存などの精神的な問題を抱え、心理療法や生活支援を受けるためにセンターに通っている。

ヘンリーは彼らの気持ちに寄り添いながら、ジョークを交わした。ヘンリーは言う。軍人仲間との友情や「ブラックユーモア」が懐かしいと。

彼はアフガニスタンで09年に重傷を負った元狙撃兵のマイク・デイに、いきなり核心を突く質問をした。「負傷の前後で、どう変わった?」

デイは少し間を置いて、おもむろに答えた。「自分じゃなくなった」

動揺してもおかしくない瞬間だ。しかしヘンリーはひるまず、こう励ました。「頑張るんだ、自分を生きなくちゃ。ただ存在するだけじゃなくて」

デイはうなずいて続けた。「月に1度はここで4日を過ごしている。その間は調子がいいんだ」

ヘンリーはもっと対話を続けたい様子だったが、あいにく次の予定が迫っていた。去り際に、王子は声を掛けた。「頑張れよ、みんな」



歌手リアーナ(左)と彼女の出身地バルバドスでHIV検査 Chris Jackson/GETTY IMAGES

その後、ヘンリーは筆者に言った。「軍隊経験を共有しているからね。あの人たちは私とそっくりだ。みんな自分の実力を証明したい、認めてほしいと願っているんだ」

公務中の王子は快活で人当たりがいい。しかし独りになるとストレスやいら立ちを感じることもあるという。無理もない。確かに超特権的な暮らしをしてきたが、苦しいことも多かった。

両親の相性は悪く、11年間の「おとぎ話」のような結婚生活は「悪夢」に変わり、ついには離婚に至った。父は長年の愛人カミラ・パーカー・ボウルズの元に戻り、母は恋人を次々に替えた。事故死したときに同乗していたドディ・アルファイド(父親は当時ハロッズのオーナーだったモハマド・アルファイド)が最後の恋人となった。

「早く何かを成し遂げたい」

家族について聞かれると、ヘンリーは何の躊躇もなくエリザベス女王の「すごさ」をたたえ、亡き母のことは「ユーモアにあふれ、楽しい雰囲気をつくり、自分たち兄弟を守ろうとしてくれた」と懐かしんだ。

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