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対北朝鮮「戦争」までのタイムテーブル 時間とともに増す「脅威」

ニューズウィーク日本版 / 2017年7月28日 17時45分

「超」が付く個人独裁体制なので、金正恩の考え一つで政策は変わるから、将来の予想に「絶対」は無いが、金正恩体制が体制維持を最優先し、そのために核ICBM開発にまい進している事実から考えると、体制の崩壊に直結する対米戦争を自分から仕掛ける可能性は極めて低い。つまり、北朝鮮側から戦争になることは考えにくいということになる。

【参考記事】世界最恐と化す北朝鮮のハッカー

新たな人工衛星打ち上げも宣言

では、米国側はどうか? 前述したようにこの春、一部の報道では今にも米国が先制攻撃しそうだとの論調も少なくなかったが、実際にはその可能性は無かった。米軍の行動も、開戦を意識したような本格的なものではなく、米政府当局も先制攻撃を明言していない。単に「あらゆる選択肢を排除しない」と言っただけである。現在もトランプ政権は、北朝鮮問題に対しては中国に圧力をかける段階にとどまっており、近い将来に戦端を開く可能性は皆無と言っていい。つまり、現時点では北朝鮮も米国も、戦争に打って出る可能性はまずない。

では今度はどうなっていくのか?



北朝鮮側は、今後も間違いなく核・ミサイルの実験を重ねていくだろう。ミサイルについては、液体燃料型ミサイル「火星」シリーズのICBMの射程延長に加え、同時に開発中の固体燃料型ミサイル「北極星」シリーズのICBM化(北極星3)の実験にもいずれは乗り出す。

6回目の核実験もいつでも実施できる状況にあるとみられるが、より国際社会の反発の大きい核実験に関しては、タイミングを見計らっているという段階ではないかと思われる。次の核実験は恐らく、従来の10キロトン程度の爆発力からさらに威力を強化したブースト型(設計にもよるが、従来の10倍規模の威力もあり得る)の可能性が高いが、他にも既に実施したか否か不明なウラン型の実験を新たに行う可能性もある。

一つ気になるのは、北朝鮮が昨年来、さかんに「新たな人工衛星を打ち上げる」と宣言していることだ。しかも今度の高度は、前回の500キロメートルの衛星よりも高い、3万6000キロメートルに静止衛星を打ち上げるとしている。つまり、それだけ推力の大きなロケット・エンジンを開発しているということだ。

そしてそれが実行された場合、弾道ミサイルの技術を使った打ち上げを禁ずる安保理決議違反として制裁が科されることになるが、それを「平和目的の宇宙開発に対する米国の理不尽な敵対行為」と見なし、それを口実に核実験という可能性もある。

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