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ティラーソン米国務長官の「北朝鮮との対話模索」と米朝秘密会談

ニューズウィーク日本版 / 2017年8月4日 16時0分

グラム氏によればトランプ大統領は「戦争になったとしても、現地で起きる。何千人死んでもこちらでは死者は出ない(ので構わない)」という主旨のことを言ったとのことだが、「現地」の中には日本も含まれている。

グラム氏はまた、「北朝鮮の核計画と北朝鮮そのものを崩壊させる軍事的選択肢は存在する」と主張しているようだ。もちろん、(日本の?)犠牲者なしに米軍が武力攻撃をしてくれるのなら、早く解決してほしいし、その選択もあっていいだろう。しかし最も多くの犠牲を払うのは(韓国と)日本だ。日本は最も大きな「巻き添え」を食うことになるのである。

当事者が責任を取るべき

朝鮮戦争を起こしたのは北朝鮮だ。一方、韓国は朝鮮戦争の休戦協定の時に、アメリカに休戦協定に違反する行動を取らせた国である。そのときの李承晩(りしょうばん、イ・スンマン)大統領が勝手に「李承晩ライン」を設定して、竹島を韓国の領土内として線引きしてしまった。それ以来、韓国は竹島を不法占拠している。手を焼いたアメリカ(トルーマン大統領)が休戦協定締結と同時に、休戦協定の条項を真っ向から否定する米韓軍事同盟を結んで韓国に居座り続けたから、こんにちの北朝鮮問題がある。

これら一連ののツケを、なぜ日本が払わなければならないのか。

なぜ日本が真っ先に北朝鮮の刃(やいば)の犠牲にならなければならないのか。

朝鮮戦争を起こした北朝鮮と、休戦協定違反をアメリカに要求した韓国が責任を取るべきで、休戦協定違反を承諾したアメリカには、米朝会談を「トラック2外交」だけでなく、「トラック1外交」で進める義務がある。

日本はこの論理構造を正確に理解すべきだ。これを理解しない限り、日本の役割がどこにあるのかを見間違える。

(詳細は『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』の第三章「北朝鮮問題と中朝関係の真相」で述べた。)

[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社、7月20発売予定)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


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