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もはや常識? 日本の就活に「インターン」がもたらす功罪とは

ニューズウィーク日本版 / 2017年8月15日 17時5分

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目的は「選抜」か「育成」か

重要なのはこうしたサービスが、学生の「選抜のため」に機能していくのか、「育成のため」に機能していくのかということである。

例えば大学生に対して何か課題を課したとき、その課題に取り組むなかで学生が悩み葛藤し成長するとしたら、その課題は「育成のため」に機能したといえるだろう。一方その課題をクリアできる学生とできない学生に選別できたとき、「選抜のため」に機能したといえる。

汚い表現かも知れないが、「できる人」を選抜し、集めることができる場はお金になる。その場から人を採用したり、そういった場に企業の課題を持ち込んで画期的なアイディアを考えてもらうことでビジネスが生まれたりする。そういう場に、企業は喜んで投資するだろう。

では、育成機能を果たそうとする場はどうだろうか。10人の学生が集まったとして、10人全員が期待通りの成長を遂げる確証はない。半分か、もしくは2人や1人しか、期待に沿うような成長は見込めないかもしれない。もしかしたら0かもしれない。つまり育成は、投資によって得られる価値を、投資する前から精緻に予測することが難しい。そんな場に企業はお金を払うだろうか。

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ビジネスとしては未知数

上に挙げた2つのサービスをビジネスモデルの観点から見ると、このサービスが育成機能を果たすのか、選抜機能を果たすのか、まだわからない。重要なポイントは「誰が何の利益を得るために」お金を払うのかということだ。

この2つのサービスにおいて、主に対価を支払うのは、学生の採用を狙う企業だ。料金を抑えたり、低学年と接点を持つための対価は無料としていたりもするが、学生と出会うために企業がお金を払うという構造は、就活サイトと基本的に変わらない。では、優秀な学生との出会いを企業に届けるためにこのサービスが運営されるとしたら、今掲げている学生の支援という目的は果たされていくのだろうか。

対価を支払う企業が満足できる人材の採用につながらなかった場合、育成機能ではなく効率的な選抜機能へと期待が高まることは容易に想像できる。

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企業は慈善事業を行っているわけではない。そんな企業は、大学生と接点を持とうとする場合にも目に見えた利益が得られることを望むだろう。その多くは優秀な人材の採用である。それはインターンも同様だ。貴重な資金や社員の時間を使って大学生のインターンに時間をさくとき、それは企業にとっては採用への投資の意味合いを持つ。

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